カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「十二人の死にたい子どもたち/冲方丁」の感想と紹介

162.十二人の死にたい子どもたち/冲方丁 「あの方は、どなたですか?」(p.68) 十二人の死にたい子どもたち (文春文庫) 作者:冲方 丁 文藝春秋 Amazon 自らの命を絶つため廃病院に集まった十二人の少年少女は、閉鎖空間で起こる謎について議論を重ねる、冲…

「今日のハチミツ、あしたの私/寺地はるな」の感想と紹介

162.今日のハチミツ、あしたの私/寺地はるな 自分の居場所があらかじめ用意されている人なんていないから。いるように見えたとしたら、それはきっとその人が自分の居場所を手に入れた経緯なり何なりを、見てないだけ。(p.162) 今日のハチミツ、あしたの私 (…

「ナラタージュ/島本理生」の感想と紹介

161.ナラタージュ/島本理生 なにもいらないと思っていた。そんなふうに一緒にいるだけで手に余るほどだったのにいつの間にか欲望が現実の距離を追い越して、期待したり要求したりするようになっていた。(p.258) ナラタージュ (角川文庫) 作者:島本 理生 KA…

「木漏れ日に泳ぐ魚/恩田陸」の感想と紹介

160.木漏れ日に泳ぐ魚/恩田陸 彼の目が宙を泳ぐ時、私はいつも木漏れ日が揺れるのを見る。(p.105) 木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫) 作者:恩田 陸 文藝春秋 Amazon これから別々の道を歩むことになる二人の男女が、アパートの一室で共に過ごした過去の記憶を擦…

「ユートピア/湊かなえ」の感想と紹介

159.ユートピア/湊かなえ 光り輝く柔らかい絹のはごろものようなものを指先で確かにつかんだはずなのに、たぐりよせた手を開けば空っぽ。(p.289) ユートピア (集英社文庫) 作者:湊かなえ 集英社 Amazon 海の側にひっそりと佇む港町を舞台に、三人の女性の…