カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

2023-01-01から1年間の記事一覧

「不可逆少年/五十嵐律人」の感想と紹介

217.不可逆少年/五十嵐律人 「やり直せるから、少年なんだよ」(p.23) 不可逆少年 (講談社文庫) 作者:五十嵐 律人 講談社 Amazon 幼い少女が起こした重大な事件が発端となり、登場人物たちが抱えてきた過去の傷が新たな事件を巻き起こしていく、五十嵐律人…

「彼らは世界にはなればなれに立っている/太田愛」の感想と紹介

215.彼らは世界にはなればなれに立っている 「おまえの行為によって世界が変わることはない。なにかすることで、おまえ自身が変わることはあってもな」(p.122) 彼らは世界にはなればなれに立っている (角川文庫) 作者:太田 愛 KADOKAWA Amazon 人々が文明を…

「スモールワールズ/一穂ミチ」の感想と紹介

216.スモールワールズ/一穂ミチ 退屈な教科書の文章みたいに単純な情報として丸飲みし、解釈も深読みも加えないでほしい。自分の人生を、物語みたいに味わわれたくない。(p.302) スモールワールズ (講談社文庫) 作者:一穂ミチ 講談社 Amazon 様々な人間関…

「レーエンデ国物語/多崎礼」の感想と紹介

214.レーエンデ国物語/多崎礼 革命の話をしよう。歴史のうねりの中に生まれ、信念のために戦った者達の夢を描き、未来を信じて死んでいった者達の革命の話をしよう。(p.10) レーエンデ国物語 作者:多崎礼 講談社 Amazon 呪われた土地と呼ばれるレーエンデ…

「告白/湊かなえ」の感想と紹介

213.告白/湊かなえ 愛美は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒に殺されたからです。(p.29) 告白 (双葉文庫) 作者:湊かなえ 双葉社 Amazon 幼い娘を校内で亡くした女性教師は、娘は事故ではなく生徒に殺されたのだと告白する、湊かなえのデビュー作と…

「世界でいちばん透きとおった物語/杉井光」の感想と紹介

212.世界でいちばん透きとおった物語/杉井光 「燈真さんは、言葉で心臓を刺せる人ですね」(p.105) 世界でいちばん透きとおった物語 (新潮文庫 す 31-2) 作者:杉井 光 新潮社 Amazon 大御所ミステリ作家が遺した未発表の小説のありかを、彼の息子である主人…

「独白するユニバーサル横メルカトル/平山夢明」の感想と紹介

211.独白するユニバーサル横メルカトル/平山夢明 私は小は道路地形から大は島の位置までを網羅した単なる地図なのでございます。(p.226) 独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫) 作者:平山 夢明 光文社 Amazon タクシー運転手を主人とする一冊の道…

「サーチライトと誘蛾灯/櫻田智也」の感想と紹介

210.サーチライトと誘蛾灯/櫻田智也 枝になりたいという強い願いなくして、あのような姿に到達できるとはとても考えられません。ぼくはそのうち、ナナフシは本物の樹になってしまうだろうと思っています。(p.125) サーチライトと誘蛾灯 (創元推理文庫) 作…

「レモンと殺人鬼/くわがきあゆ」の感想と紹介

209.レモンと殺人鬼/くわがきあゆ 十歳の私にとってはまだ父が世界の中心だった。そして、その世界は絶対に温かかったのだ。(p.96) レモンと殺人鬼 (宝島社文庫) 作者:くわがきあゆ 宝島社 Amazon 憂鬱な日々を送っていた主人公は、同じように質素な生活を…

「スキマワラシ/恩田陸」の感想と紹介

208.スキマワラシ/恩田陸 後から振り返ってみると、どんな大きなことでも、始まる時はとても静かだしきっかけはささいなところからだ。(p.469) スキマワラシ (集英社文庫) 作者:恩田陸 集英社 Amazon 古道具店を営む兄弟が出逢った都市伝説の少女を巡るひ…

「本と鍵の季節/米澤穂信」の感想と紹介

207.本と鍵の季節/米澤穂信 そうしながら、僕は友を待っていた。(p.351) 本と鍵の季節 (集英社文庫) 作者:米澤穂信 集英社 Amazon 高校で図書委員を務める二人の男子生徒は、周りで起きる本と鍵にまつわる不思議な出来事の謎を解いていく、米澤穂信の青春…

「向日葵を手折る/彩坂美月」の感想と紹介

206.向日葵を手折る/彩坂美月 大切な人を前触れもなく失うのと、大切な人がいなくなるかもしれないという恐怖に怯え続けるのとでは、どちらがより辛いだろう?(p.179) 向日葵を手折る (実業之日本社文庫) 作者:彩坂 美月 実業之日本社 Amazon 山形の集落で…

「噛みあわない会話と、ある過去について/辻村深月」の感想と紹介

205.噛みあわない会話と、ある過去について/辻村深月 どれもそうなようでいて、だけど、本音ではない気がする。言葉の先に、続けたい言葉が見つからない。(p.198) 噛みあわない会話と、ある過去について (講談社文庫) 作者:辻村深月 講談社 Amazon どこか…

「コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店/町田そのこ」の感想と紹介

204.コンビニ兄弟/町田そのこ コンビニ店員だって個性があっていいんだよ。そして、ぼくはね、ふらっと立ち寄るだけの場所だからこそ、最高に居心地のいい空間にしたいんだ」(p.347) コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―(新潮文庫nex) 作者:町田そ…

「リバーサイドチルドレン/梓崎優」の感想と紹介

203.リバーサイドチルドレン/梓崎優 暗号めいた呼び名は現実をうまく隠すためのオブラートなのだ。直接口にするには重たくて生々しい現実を、別の言葉に置き換えて和らげる。それは、この世界で生きるための、他愛のないけれど切実な術の一つなのだ。(p.97…

「自転しながら公転する/山本文緒」の感想と紹介

202.自転しながら公転する/山本文緒 何かに拘れば拘るほど、人は心が狭くなっていく。幸せに拘れば拘るほど、人は寛容さを失くしていく。(p.436) 自転しながら公転する(新潮文庫) 作者:山本文緒 新潮社 Amazon 主人公の女性は家族や恋愛、仕事の面倒に振…

「夜の国のクーパー/伊坂幸太郎」の感想と紹介

201.夜の国のクーパー/伊坂幸太郎 「疑うのをやめて、信じてみるのも一つのやり方だ」(p.300) 夜の国のクーパー (創元推理文庫) 作者:伊坂 幸太郎 東京創元社 Amazon 見覚えのない土地で目を覚ました男は、仰向けになった胸の上に座る一匹の猫から、彼らの…

「成瀬は天下を取りにいく/宮島未奈」の感想と紹介

200.成瀬は天下を取りにいく/宮島未奈 「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」(p.6) 成瀬は天下を取りにいく 作者:宮島未奈 新潮社 Amazon 中学2年生の夏休みを全て西武大津店に捧げた少女、成瀬が突き進んでいく人生が滋賀県の街並みとともに描…

「殺した夫が帰ってきました/桜井美奈」の感想と紹介

199.殺した夫が帰ってきました/桜井美奈 ずっと、こんな日が来ることを恐れていた。だけど不思議と頭の片隅で、こんな日が来るかもしれないと覚悟もしていた。(p.16) 殺した夫が帰ってきました (小学館文庫) 作者:桜井美奈 小学館 Amazon かつて崖から突き落…

「名探偵のままでいて/小西マサテル」の感想と紹介

198.名探偵のままでいて/小西マサテル 紡げば、すべてが物語。世の中で起こるすべての出来事は、物語。”作りごと”だから美しい。(p.254) 名探偵のままでいて 作者:小西マサテル 宝島社 Amazon 認知症を患っている祖父は、お見舞いにやってくる孫娘が持ち込…

「麦本三歩の好きなもの 第二集/住野よる」の感想と紹介

197.麦本三歩の好きなもの 第二集/住野よる 嫌なこともしんどいことも問題にならないほど大切な、世界からのご褒美が贈られる。それは、数えきれないほどの、好きなもの。(p.13) 麦本三歩の好きなもの 第二集 (幻冬舎文庫) 作者:住野よる 幻冬舎 Amazon 図…

「恋する寄生虫/三秋縋」の感想と紹介

196.恋する寄生虫/三秋縋 何から何までまともではなくて、しかし、それは紛れもなくそれは恋だった(p.6) 恋する寄生虫 (メディアワークス文庫) 作者:三秋 縋 KADOKAWA Amazon 社会から隔絶された二人の男女は、秘密を共有しながら行動をともにするうちに恋…

「おやすみ、東京/吉田篤弘」の感想と紹介

195.おやすみ、東京/吉田篤弘 人と人がどんな風につながってゆくかは、様々な理由があり、その理由となる道筋やきっかけが、この街には無数にある。このまちでこの仕事をしていて、いちばん感じるのはそれである。(p.124-125) おやすみ、東京 (ハルキ文庫)…

「雲を紡ぐ/伊吹有喜」の感想と紹介

194.雲を紡ぐ/伊吹有喜 「心にもない言葉など、いくらでも言える。見た目を偽ることも、偽りを耳に流し込むことも。でも触感は偽れない。心とつながっている脈の速さや肌の熱は隠せないんだ。」(p.255) 雲を紡ぐ (文春文庫) 作者:伊吹 有喜 文藝春秋 Amazo…

「青い春を数えて/武田綾乃」の感想と紹介

193.青い春を数えて/武田綾乃 曖昧な微笑。曖昧な返事。私が他者に見せる感情はいつだって、水で薄めた絵の具みたいに芯がなくてぼんやりしている。(p.28) 青い春を数えて (講談社文庫) 作者:武田綾乃 講談社 Amazon 少女から大人へと変わっていく中で生ま…

「ラブカは静かに弓を持つ/安壇美緒」の感想と紹介

192.ラブカは静かに弓を持つ/安壇美緒 音楽というのは、不思議だ。いま目の前にないはずの情景を呼び起こすことができる。(p.47) ラブカは静かに弓を持つ (集英社文芸単行本) 作者:安壇美緒 集英社 Amazon 上司から音楽教室への潜入調査を命じられた孤独な…

「方舟/夕木春夫」の感想と紹介

191.方舟/夕木春夫 「愛する誰かを残して死ぬ人と、誰にも愛されないで死ぬ人と、どっちが不幸かは、他人が決めていいことじゃないよね」(p.197) 方舟 作者:夕木春央 講談社 Amazon 謎の地下建築に閉じ込められた9人の男女が、迫り来るタイムリミットの中…

「シャドウ/道尾秀介」の感想と紹介

190.シャドウ/道尾秀介 人は、死んだらいなくなる。いなくなって__ ただ、それだけ。(p.150) シャドウ (創元推理文庫) 作者:道尾 秀介 東京創元社 Amazon 妻を亡くした父親と小さな息子の周りでは、幼馴染の母親の自殺を皮切りに次々と不幸が起こる中、…

「君のクイズ/小川哲」の感想と紹介

189.君のクイズ/小川哲 クイズに答えているとき、自分という金網を使って、世界をすくいあげているような気分になることがある。僕たちが生きるということは、金網を大きく、目を細かくしていくことだ。(p.44) 君のクイズ 作者:小川 哲 朝日新聞出版 Amazo…

「生ける屍の死/山口雅也」の感想と紹介

188.生ける屍の死/山口雅也 「そうじゃ、死者が甦る奇妙な世界。わしらは、死者の甦りという前代未聞のやっかいな要素を推理の中に織り込んでいかねばならん」(p.440) 生ける屍の死 (創元推理文庫) 作者:山口 雅也 東京創元社 Amazon アメリカ全土で巻き起…