カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「怪笑小説/東野圭吾」の感想と紹介

187.怪笑小説/東野圭吾 タヌキが飛んだ。彼はそう思った。キューちゃんがタヌキ以外の何かである可能性については全く考えなかった。(p.113) 怪笑小説 (集英社文庫) 作者:東野 圭吾 集英社 Amazon どことなく怪しい雰囲気を醸し出しながら、滑稽にも思える…

「ブラフマンの埋葬/小川洋子」の感想と紹介

186.ブラフマンの埋葬/小川洋子 考えている時のブラフマンが僕は好きだ。普段落ち着きのない尻尾も、思慮深くゆったりとしている。眉間に寄るT字型の皺はりりしくさえある。(p.55) ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) 作者:小川 洋子 講談社 Amazon 芸術家の創…

「母性/湊かなえ」の感想と紹介

185.母性/湊かなえ そんなふうに、わたしの存在というのは、母の描く幸せという絵のほんの一部、小道具のようなものに過ぎなかったはずだ。それでも、充分だった。わたしにも、同じ絵が見えていたのだから。(p.59) 母性(新潮文庫) 作者:湊かなえ 新潮社 …

「革命前夜/須賀しのぶ」の感想と紹介

184.革命前夜/須賀しのぶ 「価値観なんて、たった一日で簡単に反転する」(p.121) 革命前夜 (文春文庫) 作者:須賀 しのぶ 文藝春秋 Amazon 冷戦下のドイツに音楽留学のために訪れた主人公は、国内を取り巻く因縁の歴史に翻弄されながらも、自らの音と向き合…