カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

日記

「君が手にするはずだった黄金について/小川哲」の感想と紹介

229.君が手にするはずだった黄金について/小川哲 昔話というのは車窓の景色のように一瞬で流れ去るから面白いのであって、現場まで立ち戻って仔細に検討したらどんどん粗が見えてきてつまらなくなる(p.187) 君が手にするはずだった黄金について 作者:小川…

「あすは企業日/森本萌乃」の感想と紹介

228.あすは企業日/森本萌乃 グラデーションの始まりが、いつだって混じり気のない単色であるように。(p.11) あすは起業日! 作者:森本萌乃 小学館 Amazon スタートアップの会社で突然、クビを宣告させられた主人公の女性は、かつて抱いていた起業の夢を思…

「眠れない夜は体を脱いで/彩瀬まる」の感想と紹介

227.眠れない夜は体を脱いで/彩瀬まる 次に目を開けたとき、世界は夜になっていた。(p.147) 眠れない夜は体を脱いで (中公文庫) 作者:彩瀬まる 中央公論新社 Amazon 一つのネット掲示板に寄せられた投稿が、自身の心に漂っていた違和感をそっと掬いあげて…

「ことり/小川洋子」の感想と紹介

226.ことり/小川洋子 どんなに形の違う小石でも、一緒にポケットに入れておくうち、不思議と馴染んでくるものだとよく知っていたからだ(p.35) ことり (朝日文庫) 作者:小川 洋子 朝日新聞出版 Amazon 小鳥の言葉を理解する兄と、ただ一人兄の言葉を理解す…

「クジラアタマの王様/伊坂幸太郎」の感想と紹介

225クジラアタマの王様/伊坂幸太郎 音も聞こえず、広く、美しい青空が見えるだけであるから、本当にやってくるのだろうか、と不安になるほどだが、もちろんそれは、恐怖から目を逸らしたいからでもあった。(p.58) クジラアタマの王様(新潮文庫) 作者:伊…

「星降り山荘の殺人/倉知淳」の感想と紹介

224.星降り山荘の殺人/倉知淳 頭上には、降るような星の光が満ち満ちていた。(p.164) 新装版 星降り山荘の殺人 (講談社文庫) 作者:倉知淳 講談社 Amazon 雪に閉ざされた山荘で起こった殺人事件は、閉じ込められた一癖も二癖もある登場人物たちに対して、思…

「電気じかけのクジラは歌う/逸木裕」の感想と紹介

223.電気じかけのクジラは歌う/逸木裕 __音楽の本質は、波及なんだ。空港のように、僕やみんなの中には色々な音楽が溜まっている。いままでに影響を受けてきた色々なものから、新しいものを再構築する。そうやって芸術は波及していく。(p.47) 電気じかけ…

「神楽坂スパイスボックス/長月天音」の感想と紹介

222.神楽坂スパイスボックス/長月天音 「きっと、私がスパイス料理に勇気づけられたからかもしれませんね。私にとって、スパイスは、魔法の粉なんです」(p.57) 神楽坂スパイス・ボックス (ハルキ文庫) 作者:長月天音 角川春樹事務所 Amazon 神楽坂の路地で…

「ノウイットオール あなただけが知っている/森バジル」の感想と紹介

221.ノウイットオール あなただけが知っている/森バジル 「この世界のこと一切もれなくぜーんぶ知るまでは、誰に何言ったって知ったかぶりだよ」(p.140) ノウイットオール あなただけが知っている (文春e-book) 作者:森 バジル 文藝春秋 Amazon とある街を…

「透明な夜の香り/千早茜」の感想と紹介

220.透明な夜の香り/千早茜 「香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶されるから」(p.55) 透明な夜の香り (集英社文庫) 作者:千早茜 集英社 Amazon 古い洋館で家事手伝いをすることになった主人公は、その場所で客の望む香りを自在に作りだす調香師として…

「リボルバー/原田マハ」の感想と紹介

219.リボルバー/原田マハ 「絵を描いたその場所に、その絵は残らない。生産する場所と消費する場所は一致しないのは世の常です」(p.96) リボルバー (幻冬舎文庫) 作者:原田マハ 幻冬舎 Amazon パリのオークションに持ちこまれた、ゴッホの自殺に使われたと…

「レーエンデ国物語 月と太陽/多崎礼」の感想と紹介

218.レーエンデ国物語 月と太陽/多崎礼 ならばもう忘れてしまおう。両親のことも、恐ろしい夜のことも、忘れてしまおう。(p.50) レーエンデ国物語 月と太陽 作者:多崎礼 講談社 Amazon 屋敷から逃げだした名家の少年は、辿りついた村で出会った少女ととも…

「彼らは世界にはなればなれに立っている/太田愛」の感想と紹介

215.彼らは世界にはなればなれに立っている 「おまえの行為によって世界が変わることはない。なにかすることで、おまえ自身が変わることはあってもな」(p.122) 彼らは世界にはなればなれに立っている (角川文庫) 作者:太田 愛 KADOKAWA Amazon 人々が文明を…

「スモールワールズ/一穂ミチ」の感想と紹介

216.スモールワールズ/一穂ミチ 退屈な教科書の文章みたいに単純な情報として丸飲みし、解釈も深読みも加えないでほしい。自分の人生を、物語みたいに味わわれたくない。(p.302) スモールワールズ (講談社文庫) 作者:一穂ミチ 講談社 Amazon 様々な人間関…

「レーエンデ国物語/多崎礼」の感想と紹介

214.レーエンデ国物語/多崎礼 革命の話をしよう。歴史のうねりの中に生まれ、信念のために戦った者達の夢を描き、未来を信じて死んでいった者達の革命の話をしよう。(p.10) レーエンデ国物語 作者:多崎礼 講談社 Amazon 呪われた土地と呼ばれるレーエンデ…

「告白/湊かなえ」の感想と紹介

213.告白/湊かなえ 愛美は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒に殺されたからです。(p.29) 告白 (双葉文庫) 作者:湊かなえ 双葉社 Amazon 幼い娘を校内で亡くした女性教師は、娘は事故ではなく生徒に殺されたのだと告白する、湊かなえのデビュー作と…

「世界でいちばん透きとおった物語/杉井光」の感想と紹介

212.世界でいちばん透きとおった物語/杉井光 「燈真さんは、言葉で心臓を刺せる人ですね」(p.105) 世界でいちばん透きとおった物語 (新潮文庫 す 31-2) 作者:杉井 光 新潮社 Amazon 大御所ミステリ作家が遺した未発表の小説のありかを、彼の息子である主人…

「独白するユニバーサル横メルカトル/平山夢明」の感想と紹介

211.独白するユニバーサル横メルカトル/平山夢明 私は小は道路地形から大は島の位置までを網羅した単なる地図なのでございます。(p.226) 独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫) 作者:平山 夢明 光文社 Amazon タクシー運転手を主人とする一冊の道…

「サーチライトと誘蛾灯/櫻田智也」の感想と紹介

210.サーチライトと誘蛾灯/櫻田智也 枝になりたいという強い願いなくして、あのような姿に到達できるとはとても考えられません。ぼくはそのうち、ナナフシは本物の樹になってしまうだろうと思っています。(p.125) サーチライトと誘蛾灯 (創元推理文庫) 作…

「リバーサイドチルドレン/梓崎優」の感想と紹介

203.リバーサイドチルドレン/梓崎優 暗号めいた呼び名は現実をうまく隠すためのオブラートなのだ。直接口にするには重たくて生々しい現実を、別の言葉に置き換えて和らげる。それは、この世界で生きるための、他愛のないけれど切実な術の一つなのだ。(p.97…

「雲を紡ぐ/伊吹有喜」の感想と紹介

194.雲を紡ぐ/伊吹有喜 「心にもない言葉など、いくらでも言える。見た目を偽ることも、偽りを耳に流し込むことも。でも触感は偽れない。心とつながっている脈の速さや肌の熱は隠せないんだ。」(p.255) 雲を紡ぐ (文春文庫) 作者:伊吹 有喜 文藝春秋 Amazo…

「方舟/夕木春夫」の感想と紹介

191.方舟/夕木春夫 「愛する誰かを残して死ぬ人と、誰にも愛されないで死ぬ人と、どっちが不幸かは、他人が決めていいことじゃないよね」(p.197) 方舟 作者:夕木春央 講談社 Amazon 謎の地下建築に閉じ込められた9人の男女が、迫り来るタイムリミットの中…

「シャドウ/道尾秀介」の感想と紹介

190.シャドウ/道尾秀介 人は、死んだらいなくなる。いなくなって__ ただ、それだけ。(p.150) シャドウ (創元推理文庫) 作者:道尾 秀介 東京創元社 Amazon 妻を亡くした父親と小さな息子の周りでは、幼馴染の母親の自殺を皮切りに次々と不幸が起こる中、…

「君のクイズ/小川哲」の感想と紹介

189.君のクイズ/小川哲 クイズに答えているとき、自分という金網を使って、世界をすくいあげているような気分になることがある。僕たちが生きるということは、金網を大きく、目を細かくしていくことだ。(p.44) 君のクイズ 作者:小川 哲 朝日新聞出版 Amazo…

「生ける屍の死/山口雅也」の感想と紹介

188.生ける屍の死/山口雅也 「そうじゃ、死者が甦る奇妙な世界。わしらは、死者の甦りという前代未聞のやっかいな要素を推理の中に織り込んでいかねばならん」(p.440) 生ける屍の死 (創元推理文庫) 作者:山口 雅也 東京創元社 Amazon アメリカ全土で巻き起…

「怪笑小説/東野圭吾」の感想と紹介

187.怪笑小説/東野圭吾 タヌキが飛んだ。彼はそう思った。キューちゃんがタヌキ以外の何かである可能性については全く考えなかった。(p.113) 怪笑小説 (集英社文庫) 作者:東野 圭吾 集英社 Amazon どことなく怪しい雰囲気を醸し出しながら、滑稽にも思える…

「ブラフマンの埋葬/小川洋子」の感想と紹介

186.ブラフマンの埋葬/小川洋子 考えている時のブラフマンが僕は好きだ。普段落ち着きのない尻尾も、思慮深くゆったりとしている。眉間に寄るT字型の皺はりりしくさえある。(p.55) ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) 作者:小川 洋子 講談社 Amazon 芸術家の創…

「革命前夜/須賀しのぶ」の感想と紹介

184.革命前夜/須賀しのぶ 「価値観なんて、たった一日で簡単に反転する」(p.121) 革命前夜 (文春文庫) 作者:須賀 しのぶ 文藝春秋 Amazon 冷戦下のドイツに音楽留学のために訪れた主人公は、国内を取り巻く因縁の歴史に翻弄されながらも、自らの音と向き合…

「本日は大安なり/辻村深月」の感想と紹介

176.本日は大安なり/辻村深月 十一月二十二日、日曜日、大安。大安は、六輝の中で何事においても全て良く、成功しないことはないとされる。だけど、大安はただそれだけでは実現しない。それを可能にするのは私たちだ。(p.222) 本日は大安なり (角川文庫) …

「少女/湊かなえ」の感想と紹介

175.少女/湊かなえ 死は究極の罰ではない。ならば、死とは何だ。(p.118) 少女 (双葉文庫) 作者:湊かなえ 双葉社 Amazon 人が死ぬ瞬間を見たいと願った二人の少女は、互いにすれ違いながら、それぞれが思い描く「死」と言う存在に立ち向かっていく、湊かな…