カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

「七回死んだ男/西澤保彦」の感想と紹介

6.七回死んだ男/西澤保彦

 

親戚が入り乱れて座布団を互いにこれでもかこれでもかと叩き合ってる光景は何と申しましょうか地獄絵図さながらである。(p.241-242)

 

新装版 七回死んだ男 (講談社文庫)

新装版 七回死んだ男 (講談社文庫)

 

 

SFミステリーのパイオニア西澤保彦の長編パズラー。


反復落とし穴というタイムループ空間の中で何度も死を迎える祖父を救うため、ループを認識できる主人公である少年が謎に挑む話。


物騒なタイトルと物々しい表紙に似合わずコメディタッチで非常に読みやすい。

 

そしてなにより、主人公の心の中が描かれている地の文が面白い。くすっと笑える。


超能力が使える世界で起こる殺人事件という斬新な設定で、ここまでしっかりループ物とミステリーを融合できるのは感服の一言。


妙に落ち着きのある主人公と一緒に、ゲームのような感覚でストーリーを進められるので、ミステリーが苦手な人にもおすすめです。

 

ぜひGWのおともにどうぞ。

 

では次回。