22.折れた竜骨/米澤穂信
理性と論理は魔術をも打ち破る。(下 p.172)
12世紀末のヨーロッパを舞台に、魔法が存在する世界で起きるミステリーを描いた米澤穂信の長編小説。この設定だけでもうわくわくしてしまう。
北海に浮かぶソロン島に魔術騎士のファルクと従士の二コラが、暗殺騎士に狙われている領主を守るために訪れる。
そこには敵襲の襲来に備えて領主が雇った傭兵たちが集まっており、城は要塞と化していたのにも関わらず事件は起きてしまう。二人は領主の娘と共に事件の犯人を見つけるために謎多き島で手がかりを探していく。
この物語では魔法が登場して現実では起こりえない現象が起きているのものの、その魔法にもきちんとした法則があり、ファンタジーの世界観でありながら本格的で公平なミステリーだと言い切れる。
推理パートでも、魔法という不条理な存在がありながら、論理立てて事件を推理して容疑者を絞っていくのが目新しくて印象深い場面だった。
かといってミステリーだけでなく、剣での闘いや呪いなどのファンタジー要素もふんだんに盛り込まれているので、どちらのジャンルが好きな人でも楽しめるようになってます。
ボリュームありますがぜひ。
では次回。