カタコトニツイテ

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「13階段/高野和明」の感想と紹介

43.13階段/高野和明

 

「死刑の存廃議論にはな、人を感情的にさせる何かがあるんだ。おそらくそれが、本能と理性の戦いだからだろう」(p.197)

 

13階段 (講談社文庫)

13階段 (講談社文庫)

  • 作者:高野 和明
  • 発売日: 2004/08/10
  • メディア: 文庫
 

 

事件の記憶を失った死刑囚を救うため、前科を背負った青年と刑務官が真犯人を探し出す。


デビュー作ながら第47回江戸川乱歩賞を受賞した高野和明の長編ミステリー。


死刑囚の唯一と言える記憶である「階段」の記憶。
その手がかりを頼りに2人は事件を紐解いていく。


死刑までのタイムリミットが刻々と迫る中、主人公たちが事件の真相に近づくにつれて衝撃の真実が明らかになる。


この作品では死刑制度などの賛否両論がある重いテーマを扱っているにも関わらず、著者の描く物語にぐんぐんと引き込まれていく。

 

また、死刑に対する刑務官の苦悩なども鮮明に描かれているため、今も日本に残る死刑制度の是非を今一度考えるきっかけになるのではないかと思う。


ちなみにタイトルとなる13階段とは、処刑台までの段数が13段あったことから、絞首台を表す隠語になっている。


13って不吉な数字が多いですよね。金曜日とか。

 

では次回。