カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

「太陽のパスタ、豆のスープ/宮下奈都」の感想と紹介

49.太陽のパスタ、豆のスープ/宮下奈都

 

「おいしくつくろうなんて腕まくりしてみろよ、エゴが出るっつうか、どっか力んだ味になるからな」(p.138)

 

太陽のパスタ、豆のスープ (集英社文庫)

太陽のパスタ、豆のスープ (集英社文庫)

 

 

結婚直前で婚約破棄された主人公明日羽がショックから立ち直るため、やりたいことを書き留めたドリフターズリストをもとに自分の本心とは何かを見つめ直す話。


リストを作るように勧めた叔母のロッカさんはマイペースで、主人公の部屋によく遊びにきては料理をせびりにくる。


彼女のいい意味で楽観的な考え方が、自尊心を傷つけ自信をなくした主人公にはちょうど良い緩和剤になっていた。


リストに書き出したことをやってみては、満足したり上手くいかなかったり。


そんなことを繰り返してるうちに、周囲の人とも少しずつ素直な気持ちで繋がっていく。


あと、さりげなく登場する主人公の料理が美味しそうで、豆料理が食べたくなったな。
ホットケーキにビールが合うのかは疑問だけども。試す価値あり。


人生の中で簡単に歯車が噛み合って上手くいく人生なんてないのだから、少しは寄り道して自分の本心と向き合ってみるのも良いのかもしれない。


自分の作る料理は太陽のパスタだと言えるくらいの自信を持ちたいものだなぁ。

 

あ、登場人物の中では主人公の兄の安彦がお気に入り。引用のセリフも彼。

 

では次回。