自らを神様だと名乗る転校生の予言する通りに起こる事件に、主人公は疑心暗鬼になりながらも真実は何かを追い求める、麻耶雄嵩の「神様シリーズ」の第一作目となるミステリー。
アンチミステリ作品を数多く生み出す麻耶雄嵩さんのミステリー。
可愛い表紙とは裏腹に内容はなかなかヘビー。
神降市に住む芳雄が通う小学校にある日、謎の転校生がやってくる。
彼の名は鈴木太郎と言い、自分のことを神様だと自称する。
最初は信じていなかった主人公も、最中に街で起こっていた事件の犯人と思しき人物を瞬時に言い当てる彼のことを徐々に本物の神様なのではないかと思い始める。
不穏な雰囲気を醸し出しながら進んでいく物語に付随して、小学生のころに感じていた得体のしれないものに対する好奇心や恐怖感をまざまざと見せつけられた。
また、最後の最後まで何が起こるか分からないのが麻耶雄嵩作品の真骨頂でもあり、それまで信じてきた設定がいとも容易くひっくり返る。
真実が分かった時、ぞっとする気持ちと結局あれは何だったのだろうと言う気持ちが両方現れる不思議な作品だった。続編もいつか読もう。
では次回。