カタコトニツイテ

ゆる~い本の感想と紹介をしています。想うこともつらつらと。

「ムゲンのi/知念実希人」の感想と紹介

151.ムゲンのi/知念実希人

 

本来、夢っていうものはすぐに醒めるものだ。
もっと脆くて儚いものだ。(p.58)

 

永久に眠り続ける病気を発症した患者を救うため「ククル」と呼ばれる生命体とともに夢の中を彷徨いながら、隠された真実を究明する、知念実希人の長編小説。

 

医療ミステリーを多く書かれている著者の作品の中でも、珍しく本書ではファンタジーの要素が多分に盛り込まれている。

 

神経内科医である識名愛は、目を醒まさず眠り続ける「イレス」と呼ばれる謎の病気にかかった患者たちを担当することとなり、治療法も分からぬまま途方に暮れていた。

 

そんな中、主人公自身が元霊媒師の祖母から受け継いだ「ユタ」と呼ばれる力を使って患者の魂を救済することで、病気を治せる可能性があることが分かる。

 

彼女は「ユタ」の力を使い、眠り続ける患者たちの夢の中に入り込んで、彼らを衰弱させることになった決定的な原因を探しに行くが、その場所は現実世界の法則が全く通用しない異世界空間であった。

 

それでも、パートナーである魂の分身「ククル」とともに、夢幻の世界を冒険しながら、彼らが「イレス」を発症するに至った過程を追体験していく。

 

実際はともかく、夢の世界というのは人によって全く別物で、それぞれ思い思いの世界が広がっているのだろうと思うし、ある意味、自身の意思や感情が色濃く反映された場所でもあると思っている。

 

もしかしたら、目を覚ますと大抵の記憶を失ってしまう夢の中で、本当は大事な出会いを果たしているのかもしれないし、忘れたくない思い出を忘れてしまっているのかもしれない。

 

この作品を読んでから
夢を見るという行為がとても尊いものに感じられるようになった。

 

出来れば覚めたくないと思える夢に、いつか出会ってみたい。

 

では次回。