カタコトニツイテ

ゆる~い本の感想と紹介をしています。想うこともつらつらと。

「金の角持つ子どもたち/藤岡陽子」の感想と紹介

167.金の角持つ子どもたち/藤岡陽子

 

「おれだけが感じていることだと思うけど、角は子どもたちの武器なんだ。自分の力で手にした武器だ。金の角はきっと、あの子たちの人生を守ってくれる」(p.255)

 

突如、サッカーをやめて塾に通いたいと言い出した少年は、誰にも言えない秘密を抱えながら中学受験に挑む、藤岡陽子の長編小説。

 

小学6年生になった俊介は、それまで7年間続けていたサッカーを諦めて、日本最難関と呼ばれる東京の中学校に通うため、塾に通わせて欲しいと両親に頼み込む。

 

母の菜月は、家庭の苦しい台所事情がありながらも、自らが諦めざるをえなかった夢の道を閉ざしたくなくて、息子の夢を応援することを決意する。

 

しかし、息子の俊介にはある秘密があった。
小さな体の奥底に抱え込み、誰にも打ち明けずにいた秘密が。

 

この作品では3人の語り手の視点から物語が綴られる。
母である菜月の視点、息子である俊介の視点
そして、塾講師の加地先生の視点。

 

持ち前の負けん気でひたむきに努力を続ける俊介の成長はもちろん、彼を支えるため自らの生活を変えようと奮闘する母親の姿、そして、子どもたちが夢を叶えられるように、挑戦する気持ちの大切さを説く先生たちの姿にも胸を打たれる。

 

無謀とも言える挑戦でも、立ち向かっていくこと。
そして、挑み続けることで、人は自分を変えていくことができる。

 

親と子、それぞれが自分の夢にどうやって折り合いをつけていくか。決して中学受験の良し悪しではなく、もっと先の人生を豊かに歩んでいくために、何かに向かって全力を尽くす経験がどれほど貴重なことなのかを教えられる。

 

夢を目指す子どもたち、そして、いくつになっても夢に向かって一歩を踏み出したいと思い悩んでいる人たちに読んでほしい物語。

 

では次回。