234.厭魅の如き憑くもの/三津田信三
「__要は、不可思議な現象というものは、白か黒かが分からないこそ謎なのであり、また怖かったり不気味だったりするわけだろ。それをどちらかに決め付けてしまうのは、余りにもナンセンスだと思うんだ」(p.295)
古くから二つの家筋が対立している、怪異で彩られた村で起きた連続怪死事件を幻想作家が解きあかそうとする、三津田信三のホラーミステリ。
ずっと読んでみたいと思っていた「刀城言耶」シリーズの第1弾。
ホラーとミステリが融合した世界観は唯一無二だった。
憑き物筋の家系である谺呀治家と非憑き物筋の神櫛家。両家がお互いを毛嫌いする「神々櫛村」では、幼い子どもが神隠しに遭うなど、古くから不可思議な伝承が絶えない場所でもあった。
そんな怪異による災いが信じられている「神々櫛村」で、ある日、不可解な状況で首を吊っている死体が発見されたことを皮切りに、次々と怪死事件が起きてしまう。
突如として、禍々しい雰囲気をまとった村を訪れた怪奇幻想作家の刀城言耶は、怪異に対しての好奇心を抑えきれない悪癖によって、次第に事件の渦へと巻き込まれていく。
どこまでが怪奇現象で、どこまでが現実に起こった事件なのか。その境い目の曖昧さによって物語は複雑に変化していくのに、邪気が漂うような世界観はよりいっそう強固になっていくのが印象的だった。
それにしても、漢字の変換が難しすぎる。
感想文を書く人泣かせの作品でもあった。
では次回。