カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

2020-01-01から1年間の記事一覧

「ツバキ文具店/小川糸」の感想と紹介

77.ツバキ文具店/小川糸 文字は、体で書くんだよ(p.155) ツバキ文具店 (幻冬舎文庫) 作者:小川 糸 発売日: 2018/08/03 メディア: ペーパーバック 鎌倉で先代から続く文具店を営みながら手紙の代筆を請け負う鳩子は、様々な理由で訪れる人たちとの交流を通…

「死体を買う男/歌野晶午」の感想と紹介

76.死体を買う男/歌野晶午 死体を買う男 (講談社文庫) 作者:歌野 晶午 発売日: 2001/11/15 メディア: 文庫 江戸川乱歩の未発表作と噂される原稿を巡り主人公が奔走する中、その作品内では並行して乱歩が事件を解決するべく立ち回る、歌野晶午の本格ミステリ…

「i/西加奈子」の感想と紹介

75.i/西加奈子 でもいつ、悲しみ終えたのだろうか。皆が悲しみ終えていい瞬間は、いつ訪れたのだろう? (p.71) i (ポプラ文庫) 作者:加奈子, 西 発売日: 2019/11/06 メディア: 文庫 入学式の翌日に学校教師が言った「この世界にアイは存在しません」という言…

「ネバーランド/恩田陸」の感想と紹介

74.ネバーランド/恩田陸 ガリ勉だとは思われたくないし、つまらない奴だとも思われたくない。学園生活はバランス感覚が全てだ。(p.28) ネバーランド (集英社文庫) 作者:恩田 陸 発売日: 2003/05/20 メディア: 文庫 冬休みに多くの寮生たちが帰省する中、伝…

「世界地図の下書き/朝井リョウ」の感想と紹介

73.世界地図の下書き/朝井リョウ とんでもなく広い宇宙に放り出された気がした。(p.179) 世界地図の下書き (集英社文庫) 作者:朝井 リョウ 発売日: 2016/06/23 メディア: 文庫 両親を事故で無くした少年が養護施設で子供たちと暮らしていく中で、徐々に絆…

「レプリカたちの夜/一條次郎」の感想と紹介

72.レプリカたちの夜/一條次郎 「わかりませんよ。なにがあってもおかしくはない世の中ですから」(p.123) レプリカたちの夜 (新潮文庫) 作者:次郎, 一條 発売日: 2018/09/28 メディア: 文庫 工場で働く主人公は夜中12時に工場内を徘徊するシロクマを目撃す…

「崩れる脳を抱きしめて/知念実希人」の感想と紹介

71.崩れる脳を抱きしめて/知念実希人 だから、私たちは慌てて新しい人生の意味を探すの。残された時間で、なにかを遺したい、なにか意味のあることがしたいってね。(p.104) 崩れる脳を抱きしめて 作者:知念 実希人 発売日: 2017/09/15 メディア: 単行本(…

「さよならの言い方なんて知らない。/河野裕」の感想と紹介

70.さよならの言い方なんて知らない。/河野裕 「たいていの物事はフィクションから始まる。 そのフィクションに現実が出会う瞬間に、心の底から憧れる」(p.10) さよならの言い方なんて知らない。 (新潮文庫nex) 作者:裕, 河野 発売日: 2019/08/28 メディア…

「盤上の向日葵/柚木裕子」の感想と紹介

69.盤上の向日葵/柚木裕子 将棋の駒は美術品じゃねえ。眺めてるだけじゃ死んでいるのと同じよ。駒は指してこそ生きる。(下・p.94) 盤上の向日葵 作者:柚月裕子 発売日: 2017/11/07 メディア: Kindle版 名匠の将棋駒を胸に抱いた白骨死体を巡り、二人組の刑…

「あと少し、もう少し/瀬尾まいこ」の感想と紹介

68.あと少し、もう少し/瀬尾まいこ 俺はハングリーではない。だけど、負けるにはいかない。(p.230) あと少し、もう少し (新潮文庫) 作者:瀬尾 まいこ 発売日: 2015/03/28 メディア: 文庫 所属している部活もばらばらの六人が中学最後の駅伝大会に向けて集…

「旅のラゴス/筒井康隆」の感想と紹介

67.旅のラゴス/筒井康隆 人間はただその一生のうち、自分に最も適していて最もやりたいと思うことに可能な限りの時間を充てさえすればそれでいい筈だ。(p.122) 旅のラゴス(新潮文庫) 作者:筒井康隆 発売日: 2018/08/10 メディア: Kindle版 高度な文明を…

「満月の泥枕/道尾秀介」の感想と紹介

66.満月の泥枕/道尾秀介 まるっきりの嘘なんて、けっこう誰も信じねえもんだよ。(p.170) 満月の泥枕 (光文社文庫) 作者:秀介, 道尾 発売日: 2020/08/06 メディア: 文庫 姪と下町の古びたアパートに住む主人公が、泥酔した夜の公園で見た奇妙な光景をきっか…

「好きな歌詞」について(andymori編)

近頃は気温も下がり、過ごしやすい気候になりつつある中で、相も変わらず家で本を読んだり文を書いたりしている訳ですが。 最近買った本にこんなものがありました。 Sunrise&Sunset 小山田壮平詩集 作者:小山田 壮平 発売日: 2020/08/31 メディア: 単行本 ぼ…

「そして二人だけになった/森博嗣」の感想と紹介

65.そして二人だけになった/森博嗣 自然には、権利など、最初からない。(p.29) そして二人だけになった Until Death Do Us Part (講談社文庫) 作者:森博嗣 発売日: 2018/09/14 メディア: Kindle版 海峡大橋を支えるアンカレイジの内部に…

「明るい夜に出かけて/佐藤多佳子」の感想と紹介

64.明るい夜に出かけて/佐藤多佳子 世界から色がなくなる俺的造語「失色」状態の時でも、好きな深夜ラジオは、色あせなかった。(p.30) 明るい夜に出かけて(新潮文庫) 作者:佐藤多佳子 発売日: 2019/10/18 メディア: Kindle版 ある事件から心に傷を負って…

「ボトルネック/米澤穂信」の感想と紹介

63.ボトルネック/米澤穂信 「瓶の首は細くなっていて、水の流れを妨げる。」(p.284) ボトルネック(新潮文庫) 作者:米澤 穂信 発売日: 2014/11/28 メディア: Kindle版 死んだはずの姉が生きていて自分が存在しない世界で、生きる意味を求めて葛藤する主人…

「サクリファイス/近藤史恵」の感想と紹介

62.サクリファイス/近藤史恵 自らの身を供物として差し出した月のうさぎの伝説のように、自分の身体をむさぼり食ってもらえれば、そのときにやっと楽になれるのではないかと。(p.76) サクリファイス(新潮文庫) 作者:近藤史恵 発売日: 2012/07/01 メディ…

「四畳半タイムマシンブルース/森見登美彦」の感想と紹介

61.四畳半タイムマシンブルース/森見登美彦 「タイムマシンだったりして」 恥じらうように小さな声だった。 物干し台の風鈴がちりんと鳴った。夏であった。(p.65) 四畳半タイムマシンブルース (角川書店単行本) 作者:森見 登美彦 発売日: 2020/07/29 メデ…

「羊と鋼の森/宮下奈津」の感想と紹介

60.羊と鋼の森/宮下奈津 羊のハンマーが鋼の弦を叩く。それが音楽になる。(p.75) 羊と鋼の森 (文春文庫) 作者:宮下 奈都 発売日: 2018/02/09 メディア: Kindle版 1人の青年がピアノ調律師として成長していく、宮下奈津の第13回本屋大賞に選ばれた作品。 北…

「名も無き世界のエンドロール/行成薫」の感想と紹介

59.名も無き世界のエンドロール/行成薫 「一日あれば、世界は変わる。二日あったら、宇宙がなくなってもおかしくない」(p.199) 名も無き世界のエンドロール (集英社文庫) 作者:行成 薫 発売日: 2015/02/20 メディア: 文庫 ドッキリをかけるのが生きがいの…

「塩の街/有川浩」の感想と紹介

58.塩の街/有川浩 変わらない明日が来るなんて、もう世界は約束してくれないのを知っていたのに。(p.200) 塩の街 (角川文庫) 作者:有川 浩 発売日: 2010/01/23 メディア: 文庫 隕石が落ちたことにより塩が世界を埋め尽くす「塩害」の時代を迎えた東京で、…

「カササギ殺人事件/アンソニー・ホロヴィッツ」の感想と紹介

57.カササギ殺人事件/アンソニー・ホロヴィッツ この本は、わたしの人生を変えた。(p.9) カササギ殺人事件 上 (創元推理文庫) 作者:アンソニー・ホロヴィッツ 発売日: 2018/09/28 メディア: Kindle版 カササギ殺人事件 下 (創元推理文庫) 作者:アンソニー…

「乱反射/貫井徳郎」の感想と紹介

56.乱反射/貫井徳郎 それは小さなルール違反だった。(p.12) 乱反射 (朝日文庫) 作者:貫井徳郎 発売日: 2013/12/07 メディア: Kindle版 誰もが心当たりのある小さな罪がやがて大きな罪へと繋がる、貫井徳郎の長編ミステリー。 貫井さんの本は心をえぐる作品…

「海の見える理髪店/荻原浩」の感想と紹介

55.海の見える理髪店/荻原浩 英語にすれば、毎日のどうでもいいものが、別のものに見えてくる。英語は魔法の呪文だ。(p.125) 海の見える理髪店 (集英社文庫) 作者:荻原浩 発売日: 2019/07/05 メディア: Kindle版 表題作である「海の見える理髪店」を含めた…

「龍神の雨/道尾秀介」の感想と紹介

54.龍神の雨/道尾秀介 想像は人を喰らう。観念の産物である龍が、人間を腹の底に呑み込もうとするように。(p.382) 龍神の雨 (新潮文庫) 作者:道尾 秀介 発売日: 2012/01/28 メディア: 文庫 血の繋がらない親と暮らす二組の兄妹のもと、雨の日の起こる死を…

「麦の海に沈む果実/恩田陸」の感想と紹介

53.麦の海に沈む果実/恩田陸 なぜなら、それは私の物語だからだ。私がなぜトランクを失い、どうやってそれを取り戻したかという物語だからである。(p.10) 麦の海に沈む果実 (講談社文庫) 作者:恩田 陸 発売日: 2004/01/16 メディア: 文庫 三月以外の転入生…

「クラインの壺/岡嶋二人」の感想と紹介

52.クラインの壺/岡嶋二人 「はじめのところから始めて、終わりに来たらやめればいいのよ」(p.470) クラインの壺 (新潮文庫) 作者:二人, 岡嶋 発売日: 1993/01/28 メディア: 文庫 イプシロン・プロジェクトが開発した、ヴァーチャルリアリティシステムを…

「ハサミ男/殊能将之」の感想と紹介

51.ハサミ男/殊能将之 「きみの好きにするがいい。きみのやりたいようにすればいい。ただ、きみには自分が何をしたいのか、まったくわかっていないだろうけどね」(p.65) ハサミ男 (講談社文庫) 作者:殊能将之 発売日: 2013/07/12 メディア: Kindle版 美少…

「陽気なギャングが地球を回す/伊坂幸太郎」の感想と紹介

50.陽気なギャングが地球を回す/伊坂幸太郎 「感じたことを全部わざわざ口に出す必要はないんだよ。誰もが心の中で思っているだけならば、世界は平和だ」(p.169) 陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫) 作者:伊坂幸太郎 発売日: 2013/03/22 メディア: K…

「太陽のパスタ、豆のスープ/宮下奈都」の感想と紹介

49.太陽のパスタ、豆のスープ/宮下奈都 「おいしくつくろうなんて腕まくりしてみろよ、エゴが出るっつうか、どっか力んだ味になるからな」(p.138) 太陽のパスタ、豆のスープ (集英社文庫) 作者:宮下奈都 発売日: 2013/09/10 メディア: Kindle版 結婚直前で…