カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

「ハサミ男/殊能将之」の感想と紹介

51.ハサミ男/殊能将之

 

「きみの好きにするがいい。きみのやりたいようにすればいい。ただ、きみには自分が何をしたいのか、まったくわかっていないだろうけどね」(p.65)

 

ハサミ男 (講談社文庫)

ハサミ男 (講談社文庫)

 

 
美少女の首にハサミをつきたて殺害する猟奇殺人鬼ハサミ男、全く同じ手口で殺された死体を発見する。


一人称のわたしと三人称の警察視点で展開される、覆面作家殊能将之による長編ミステリー。
第13回メフィスト賞受賞作


死体の第一発見者であるハサミ男は自分が犯人にされかねないと思い、独自で犯人を調査する。


一方、警察側もハサミ男による連続殺人だと断定し、調査を進めていく。


ハサミ男側の視点では自分も殺人犯のはずなのに、殺人犯を探すために色んな人に聞き込みしているのが奇妙で面白い。普通そんな状況に陥らない。


そして、物語がラストに近づくにしたがってとんでもない勘違いをしてることに気づく。読み終わったら最初から読み直して一つ一つの表現をチェックしてみて欲しい。


タイトルから想像するほど凄惨な描写は少なく、ユーモアも交えながらスラスラ読み進められる作品だと思う。


残念なのは作者の殊能将之さんはすでに亡くなっていて、新しい作品をもう読めないこと。無念。

 

では次回。