カタコトニツイテ

ゆる~い本の感想と紹介をしています。想うこともつらつらと。

「タルト・タタンの夢/近藤史恵」の感想と紹介

181.タルト・タタンの夢/近藤史恵 白い皿の上で、アイスクリームは静かに溶けていく。まるで、魔法が解けるように。(p.48) タルト・タタンの夢 〈ビストロ・パ・マル〉 (創元推理文庫) 作者:近藤 史恵 東京創元社 Amazon 商店街にひっそりと佇むフレンチ・…

「鎌倉うずまき案内所/青山美智子」の感想と紹介

180.鎌倉うずまき案内所/青山美智子 「ただ俺は、流れ着いた先での、そのつどの全力が起こしてくれるミラクルを信じてるんだ。思いがけない展開で次の扉が開くのがおもしろいの。」(p.56) 鎌倉うずまき案内所 (宝島社文庫) 作者:青山 美智子 宝島社 Amazon…

「浅草ルンタッタ/劇団ひとり」の感想と紹介

179.浅草ルンタッタ/劇団ひとり お雪のピアノに合わせて舞台上で季節が過ぎていく。劇場の天井の澄み切った青空から光が降り注ぐ。音が光になり、光が歌になる。(p.113) 浅草ルンタッタ (幻冬舎単行本) 作者:劇団ひとり 幻冬舎 Amazon 煌びやかな遊郭が立…

「少女七竈と七人の可哀想な大人/桜庭一樹」の感想と紹介

178.少女七竈と七人の可哀想な大人/桜庭一樹 「ほんのすこぅしだったら」むくむくがつぶやいた。誰にともなく。「なんでも許せる気がしてしまう」(p.70) 少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫) 作者:桜庭 一樹 KADOKAWA Amazon 旭川の街で生まれ育っ…

「ジヴェルニーの食卓/原田マハ」の感想と紹介

177.ジヴェルニーの食卓/原田マハ 先生はひと目ぼれをなさるんだそうです。窓辺の風景に。そこに佇む女性に。テーブルの上に置かれたオレンジに。花瓶から重たく頭を下げるあじさいに。(p.36) ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫) 作者:原田マハ 集英社 Amazo…

「本日は大安なり/辻村深月」の感想と紹介

176.本日は大安なり/辻村深月 十一月二十二日、日曜日、大安。大安は、六輝の中で何事においても全て良く、成功しないことはないとされる。だけど、大安はただそれだけでは実現しない。それを可能にするのは私たちだ。(p.222) 本日は大安なり (角川文庫) …

「少女/湊かなえ」の感想と紹介

175.少女/湊かなえ 死は究極の罰ではない。ならば、死とは何だ。(p.118) 少女 (双葉文庫) 作者:湊かなえ 双葉社 Amazon 人が死ぬ瞬間を見たいと願った二人の少女は、互いにすれ違いながら、それぞれが思い描く「死」と言う存在に立ち向かっていく、湊かな…

「神去なあなあ日常/三浦しをん」の感想と紹介

174.神去なあなあ日常/三浦しをん 「手入れもせんで放置するのが『自然』やない。うまくサイクルするよう手を貸して、いい状態の山を維持してこそ、『自然』が保たれるんや」(p.156) 神去なあなあ日常 (徳間文庫) 作者:三浦 しをん 徳間書店 Amazon 都会で…

「嘘の木/フランシス・ハーディング」の感想と紹介

173.嘘の木/フランシス・ハーディング 嘘は暗い緑色の煙となって家のまわりをかすみのようにとり囲み、ささやきあい不思議がりおびえる人々の口からこぼれ落ちる。(p.238) 嘘の木 (創元推理文庫) 作者:フランシス・ハーディング 東京創元社 Amazon 世間の…

「硝子の塔の殺人/知念実希人」の感想と紹介

172.硝子の塔の殺人/知念実希人 人間は最も大事にしているものを踏みにじられたとき、他人を殺すんだ(p.472) 硝子の塔の殺人 作者:知念 実希人 実業之日本社 Amazon 硝子の塔がそびえ立つ館に集められたゲストたちは、館内で巻き起こる不可解な事件の数々…

「か「」く「」し「」ご「」と「/住野よる」の感想と紹介

171.か「」く「」し「」ご「」と「/住野よる 「皆、何を知って色んな人を好きになるんだろう」(p.10) か「」く「」し「」ご「」と「(新潮文庫) 作者:住野よる 新潮社 Amazon 少しだけ特別な力を持った5人の高校生は、そのせいでお互いへの気持ちに戸惑い…

「神のロジック 次は誰の番ですか?/西澤保彦」の感想と紹介

170.神のロジック 次は誰の番ですか?/西澤保彦 わたしたち人間はね、自分が信じるものしか事実とは認めないの。たとえそれが嘘でも、ね。(p.81) 神のロジック 次は誰の番ですか? (コスミック文庫) 作者:西澤保彦 コスミック出版 Amazon 世界のどこにある…

「流浪の月/凪良ゆう」の感想と紹介

169.流浪の月/凪良ゆう 世間は別に冷たくない。逆に出口のない思いやりで満ちていて、わたしはもう窒息しそうだ。(p.117) 流浪の月 (創元文芸文庫) 作者:凪良 ゆう 東京創元社 Amazon 動くことのない事実と決して理解されない真実の狭間で揺れ動く二人の男…

「黒牢城/米澤穂信」の感想と紹介

168.黒牢城/米澤穂信 考え尽くして決したことには、その結果はどうであれ、村重が悔いることはない。だが、考えが及んでいなかったことにはーーー薄い、紙のように薄い、悔いが残る(p.261) 黒牢城 (角川書店単行本) 作者:米澤 穂信 KADOKAWA Amazon 織田信…

「金の角持つ子どもたち/藤岡陽子」の感想と紹介

167.金の角持つ子どもたち/藤岡陽子 「おれだけが感じていることだと思うけど、角は子どもたちの武器なんだ。自分の力で手にした武器だ。金の角はきっと、あの子たちの人生を守ってくれる」(p.255) 金の角持つ子どもたち (集英社文庫) 作者:藤岡 陽子 集英…

「ソロモンの偽証/宮部みゆき」の感想と紹介

166.ソロモンの偽証/宮部みゆき 声が伝わる。空を飛び交う。行っては戻り、戻ってはまた投げ返される。心を乗せ、時には取りこぼしながらも。想いを告げ、時には嘘を交えながらも。(第1部 上 p.408) ソロモンの偽証 第I部 事件 上 作者:宮部 みゆき Audibl…

「闇に香る嘘/下村敦史」の感想と紹介

165.闇に香る嘘/下村敦史 「完全な暗闇に思えても、必ず光は存在する。それに気づかないと、自分で自分を不幸にしていくだけなんだろう。」(p.245) 闇に香る嘘 (講談社文庫) 作者:下村敦史 講談社 Amazon 両目を失明した主人公は、今まで兄だと信じていた…

「夜市/恒川光太郎」の感想と紹介

164.夜市/恒川光太郎 やがて夢は現実にとすりかわる。(p.63) 夜市 (角川ホラー文庫) 作者:恒川 光太郎 KADOKAWA Amazon この世のものではない妖怪たちが、様々な品物を売る「夜市」に紛れ込んだ人々の儚い人生が描かれる、恒川光太郎のホラーファンタジー…

「十二人の死にたい子どもたち/冲方丁」の感想と紹介

162.十二人の死にたい子どもたち/冲方丁 「あの方は、どなたですか?」(p.68) 十二人の死にたい子どもたち (文春文庫) 作者:冲方 丁 文藝春秋 Amazon 自らの命を絶つため廃病院に集まった十二人の少年少女は、閉鎖空間で起こる謎について議論を重ねる、冲…

「今日のハチミツ、あしたの私/寺地はるな」の感想と紹介

162.今日のハチミツ、あしたの私/寺地はるな 自分の居場所があらかじめ用意されている人なんていないから。いるように見えたとしたら、それはきっとその人が自分の居場所を手に入れた経緯なり何なりを、見てないだけ。(p.162) 今日のハチミツ、あしたの私 (…

「ナラタージュ/島本理生」の感想と紹介

161.ナラタージュ/島本理生 なにもいらないと思っていた。そんなふうに一緒にいるだけで手に余るほどだったのにいつの間にか欲望が現実の距離を追い越して、期待したり要求したりするようになっていた。(p.258) ナラタージュ (角川文庫) 作者:島本 理生 KA…

「木漏れ日に泳ぐ魚/恩田陸」の感想と紹介

160.木漏れ日に泳ぐ魚/恩田陸 彼の目が宙を泳ぐ時、私はいつも木漏れ日が揺れるのを見る。(p.105) 木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫) 作者:恩田 陸 文藝春秋 Amazon これから別々の道を歩むことになる二人の男女が、アパートの一室で共に過ごした過去の記憶を擦…

「ユートピア/湊かなえ」の感想と紹介

159.ユートピア/湊かなえ 光り輝く柔らかい絹のはごろものようなものを指先で確かにつかんだはずなのに、たぐりよせた手を開けば空っぽ。(p.289) ユートピア (集英社文庫) 作者:湊かなえ 集英社 Amazon 海の側にひっそりと佇む港町を舞台に、三人の女性の…

「ハケンアニメ!/辻村深月」の感想と紹介

158. ハケンアニメ!/辻村深月 「アニメが好きなんだよね」と、彼は言った。「どうしようもなく好きなんだから、だからもう、どうしようもないよね」(p.540) ハケンアニメ! 作者:辻村深月,CLAMP マガジンハウス Amazon 鮮烈な覇権争いが繰り広げられ…

「くちびるに歌を/中田永一」の感想と紹介

157.くちびるに歌を/中田永一 「【くちびるに歌を持て、ほがらかな調子で】ってね。それをわすれないで」(p.27) くちびるに歌を (小学館文庫) 作者:中田永一 小学館 Amazon 五島列島にある小さな中学校に通う少年少女は、共に歌う合唱を通して秘めた悩みや…

「やがて海へと届く/彩瀬まる」の感想と紹介

156.やがて海へと届く/彩瀬まる 周りの人たちの命と私の命は、全然つながっていないんだなって、改めて思うとびっくりします(p.131) やがて海へと届く (講談社文庫) 作者:彩瀬まる 講談社 Amazon 震災によって唐突に居なくなってしまった友人の喪失感を埋…

「死刑にいたる病/櫛木理宇」の感想と紹介

155.死刑にいたる病/櫛木理宇 間違いない。 いま目の前にいる男は、正真正銘の人殺しなのだ。(p.35) 死刑にいたる病 (ハヤカワ文庫JA) 作者:櫛木 理宇 早川書房 Amazon 鬱屈とした日々を送る大学生の主人公は、牢獄に囚われた連続殺人鬼から事件の再調査を…

「パーフェクトフレンド/野崎まど」の感想と紹介

154.パーフェクトフレンド/野崎まど 私達は、友達とは何なのかをまだ知らない(p.51) パーフェクトフレンド 新装版 【新装版】パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫) 作者:野崎 まど KADOKAWA Amazon 小学校に通う少女たちは不登校の同級生を連れ戻…

「アイネクライネナハトムジーク/伊坂幸太郎」の感想と紹介

153.アイネクライネナハトムジーク/伊坂幸太郎 「いいか、後になって『あの時、あそこにいたのが彼女で本当に良かった』って幸運に感謝できるようなのが、一番幸せなんだよ」(p.28) アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫) 作者:伊坂幸太郎 幻冬舎 Ama…

「喜嶋先生の静かな世界/森博嗣」の感想と紹介

152.喜嶋先生の静かな世界/森博嗣 「既にあるものを知ることも、理解することも、研究ではない。研究とは、今はないものを知ること、理解することだ。それを実現するための手がかりは、自分の発想しかない」(p.109) 喜嶋先生の静かな世界 The Silent World…