カタコトニツイテ

ゆる~い本の感想と紹介をしています。想うこともつらつらと。

「流浪の月/凪良ゆう」の感想と紹介

169.流浪の月/凪良ゆう 世間は別に冷たくない。逆に出口のない思いやりで満ちていて、わたしはもう窒息しそうだ。(p.117) 流浪の月 (創元文芸文庫) 作者:凪良 ゆう 東京創元社 Amazon 動くことのない事実と決して理解されない真実の狭間で揺れ動く二人の男…

「黒牢城/米澤穂信」の感想と紹介

168.黒牢城/米澤穂信 考え尽くして決したことには、その結果はどうであれ、村重が悔いることはない。だが、考えが及んでいなかったことにはーーー薄い、紙のように薄い、悔いが残る(p.261) 黒牢城 (角川書店単行本) 作者:米澤 穂信 KADOKAWA Amazon 織田信…

「金の角持つ子どもたち/藤岡陽子」の感想と紹介

167.金の角持つ子どもたち/藤岡陽子 「おれだけが感じていることだと思うけど、角は子どもたちの武器なんだ。自分の力で手にした武器だ。金の角はきっと、あの子たちの人生を守ってくれる」(p.255) 金の角持つ子どもたち (集英社文庫) 作者:藤岡 陽子 集英…

「ソロモンの偽証/宮部みゆき」の感想と紹介

166.ソロモンの偽証/宮部みゆき 声が伝わる。空を飛び交う。行っては戻り、戻ってはまた投げ返される。心を乗せ、時には取りこぼしながらも。想いを告げ、時には嘘を交えながらも。(第1部 上 p.408) ソロモンの偽証 第I部 事件 上 作者:宮部 みゆき Audibl…

「闇に香る嘘/下村敦史」の感想と紹介

165.闇に香る嘘/下村敦史 「完全な暗闇に思えても、必ず光は存在する。それに気づかないと、自分で自分を不幸にしていくだけなんだろう。」(p.245) 闇に香る嘘 (講談社文庫) 作者:下村敦史 講談社 Amazon 両目を失明した主人公は、今まで兄だと信じていた…

「夜市/恒川光太郎」の感想と紹介

164.夜市/恒川光太郎 やがて夢は現実にとすりかわる。(p.63) 夜市 (角川ホラー文庫) 作者:恒川 光太郎 KADOKAWA Amazon この世のものではない妖怪たちが、様々な品物を売る「夜市」に紛れ込んだ人々の儚い人生が描かれる、恒川光太郎のホラーファンタジー…

「十二人の死にたい子どもたち/冲方丁」の感想と紹介

162.十二人の死にたい子どもたち/冲方丁 「あの方は、どなたですか?」(p.68) 十二人の死にたい子どもたち (文春文庫) 作者:冲方 丁 文藝春秋 Amazon 自らの命を絶つため廃病院に集まった十二人の少年少女は、閉鎖空間で起こる謎について議論を重ねる、冲…

「今日のハチミツ、あしたの私/寺地はるな」の感想と紹介

162.今日のハチミツ、あしたの私/寺地はるな 自分の居場所があらかじめ用意されている人なんていないから。いるように見えたとしたら、それはきっとその人が自分の居場所を手に入れた経緯なり何なりを、見てないだけ。(p.162) 今日のハチミツ、あしたの私 (…

「ナラタージュ/島本理生」の感想と紹介

161.ナラタージュ/島本理生 なにもいらないと思っていた。そんなふうに一緒にいるだけで手に余るほどだったのにいつの間にか欲望が現実の距離を追い越して、期待したり要求したりするようになっていた。(p.258) ナラタージュ (角川文庫) 作者:島本 理生 KA…

「木漏れ日に泳ぐ魚/恩田陸」の感想と紹介

160.木漏れ日に泳ぐ魚/恩田陸 彼の目が宙を泳ぐ時、私はいつも木漏れ日が揺れるのを見る。(p.105) 木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫) 作者:恩田 陸 文藝春秋 Amazon これから別々の道を歩むことになる二人の男女が、アパートの一室で共に過ごした過去の記憶を擦…

「ユートピア/湊かなえ」の感想と紹介

159.ユートピア/湊かなえ 光り輝く柔らかい絹のはごろものようなものを指先で確かにつかんだはずなのに、たぐりよせた手を開けば空っぽ。(p.289) ユートピア (集英社文庫) 作者:湊かなえ 集英社 Amazon 海の側にひっそりと佇む港町を舞台に、三人の女性の…

「ハケンアニメ!/辻村深月」の感想と紹介

158. ハケンアニメ!/辻村深月 「アニメが好きなんだよね」と、彼は言った。「どうしようもなく好きなんだから、だからもう、どうしようもないよね」(p.540) ハケンアニメ! 作者:辻村深月,CLAMP マガジンハウス Amazon 鮮烈な覇権争いが繰り広げられ…

「くちびるに歌を/中田永一」の感想と紹介

157.くちびるに歌を/中田永一 「【くちびるに歌を持て、ほがらかな調子で】ってね。それをわすれないで」(p.27) くちびるに歌を (小学館文庫) 作者:中田永一 小学館 Amazon 五島列島にある小さな中学校に通う少年少女は、共に歌う合唱を通して秘めた悩みや…

「やがて海へと届く/彩瀬まる」の感想と紹介

156.やがて海へと届く/彩瀬まる 周りの人たちの命と私の命は、全然つながっていないんだなって、改めて思うとびっくりします(p.131) やがて海へと届く (講談社文庫) 作者:彩瀬まる 講談社 Amazon 震災によって唐突に居なくなってしまった友人の喪失感を埋…

「死刑にいたる病/櫛木理宇」の感想と紹介

155.死刑にいたる病/櫛木理宇 間違いない。 いま目の前にいる男は、正真正銘の人殺しなのだ。(p.35) 死刑にいたる病 (ハヤカワ文庫JA) 作者:櫛木 理宇 早川書房 Amazon 鬱屈とした日々を送る大学生の主人公は、牢獄に囚われた連続殺人鬼から事件の再調査を…

「パーフェクトフレンド/野崎まど」の感想と紹介

154.パーフェクトフレンド/野崎まど 私達は、友達とは何なのかをまだ知らない(p.51) パーフェクトフレンド 新装版 【新装版】パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫) 作者:野崎 まど KADOKAWA Amazon 小学校に通う少女たちは不登校の同級生を連れ戻…

「アイネクライネナハトムジーク/伊坂幸太郎」の感想と紹介

153.アイネクライネナハトムジーク/伊坂幸太郎 「いいか、後になって『あの時、あそこにいたのが彼女で本当に良かった』って幸運に感謝できるようなのが、一番幸せなんだよ」(p.28) アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫) 作者:伊坂幸太郎 幻冬舎 Ama…

「喜嶋先生の静かな世界/森博嗣」の感想と紹介

152.喜嶋先生の静かな世界/森博嗣 「既にあるものを知ることも、理解することも、研究ではない。研究とは、今はないものを知ること、理解することだ。それを実現するための手がかりは、自分の発想しかない」(p.109) 喜嶋先生の静かな世界 The Silent World…

「ムゲンのi/知念実希人」の感想と紹介

151.ムゲンのi/知念実希人 本来、夢っていうものはすぐに醒めるものだ。もっと脆くて儚いものだ。(p.58) ムゲンのi : 上 (双葉文庫) 作者:知念実希人 双葉社 Amazon ムゲンのi : 下 作者:知念実希人 双葉社 Amazon 永久に眠り続ける病気を発症した患者…

「六人の嘘つきな大学生/浅倉秋成」の感想と紹介

150. 六人の嘘つきな大学生/浅倉秋成 誰もが胸に『封筒』を隠している。それを悟られないよう、うまく振る舞っているだけ。(p.234) 六人の嘘つきな大学生 (角川書店単行本) 作者:浅倉 秋成 KADOKAWA Amazon 瞬く間に世間の羨望を集めたベンチャー企業の最…

「ベルリンは晴れているか/深緑野分」の感想と紹介

149.ベルリンは晴れているか/深緑野分 爆弾の炎がいかに街を焼き、醜い姿に変えようと、夏の青い夜は美しい。(p.18) ベルリンは晴れているか 作者:深緑野分 筑摩書房 Amazon 第二次世界大戦で敗れたことにより連合国軍の統治下に置かれたドイツで、17歳の…

「赤と青とエスキース/青山美智子」の感想と紹介

148.赤と青とエスキース/青山美智子 どちらの立場になっても、私はいつも自分から先に手を放してしまう。待っていられないのだ。熱すぎるのも、冷たすぎるのも。(p.30) 赤と青とエスキース 作者:青山 美智子 PHP研究所 Amazon これから先の将来に不安を抱…

「隻眼の少女/麻耶雄嵩」の感想と紹介

147. 隻眼の少女/麻耶雄嵩 「簡単よ。私にとって万物の言葉の整合が大事なの。」(p.183) 隻眼の少女 作者:麻耶 雄嵩 文藝春秋 Amazon 隻眼の少女探偵は山奥の寒村で突如として起きた連続殺人事件を解決するべく立ち向かうが、18年の時を経て、惨劇は再び繰…

「ダック・コール/稲見一良」の感想と紹介

146.ダック・コール/稲見一良 リョコウバトという鳥は、過ぎ去ったある時代の天空を翔ぬけたパッセンジャーの大集団であり、サムという名の一青年は、今はもう還ることのないある時ある所の、豊穣の自然に触れることのできた幸運者であり、彼もまた時の流れ…

「悪いものが、来ませんように/芦沢央」の感想と紹介

145.悪いものが、来ませんように/芦沢央 この子のもとに、幸せばかりが待っていますように。悪いものが、来ませんように。(p.12) 悪いものが、来ませんように (角川文庫) 作者:芦沢 央 KADOKAWA Amazon 二人の女性の語りによって、子育てや家族関係が発端…

「わたしの美しい庭/凪良ゆう」の感想と紹介

144.わたしの美しい庭/凪良ゆう ___それでいいんだよ。幸せに決まった形なんてないのだから。(p.23) わたしの美しい庭 作者:ゆう, 凪良 ポプラ社 Amazon 小さな神社が屋上にあるマンションで、ままならない想いを抱えながらも、前を向いて日々を生きていく…

「同志少女よ、敵を撃て/逢坂冬馬」の感想と紹介

143.同志少女よ、敵を撃て/逢坂冬馬 「私の知る、誰かが…自分が何を経験したのか、自分は、なぜ戦ったのか、自分は、一体何を見て何を聞き、何を思い、何をしたのか…それを、ソ連人民の鼓舞のためではなく、自らの弁護のためでもなく、ただ伝えるためだけに…

「愛なき世界/三浦しをん」の感想と紹介

142.愛なき世界/三浦しをん たとえ終わりがなく、はかない行いだったとしても。だから無駄だ、ということにはならない。(上 p.236-237) 愛なき世界(上) (中公文庫) 作者:三浦しをん 中央公論新社 Amazon 洋食屋の料理人見習いとして働く主人公が恋をした…

「丸太町ルヴォワール/円居晩」の感想と紹介

141.丸太町ルヴォワール/円居晩 「言の葉を吹いて、寿と為す、だから言吹き。君に相応しい呼び名だろう?」(p.73) 丸太町ルヴォワール (講談社文庫) 作者:円居挽 講談社 Amazon とある屋敷で起きた事件の裏側で繰り広げられていた謎の女との魅惑的な邂逅が…

「フーガはユーガ/伊坂幸太郎」の感想と紹介

140.フーガはユーガ/伊坂幸太郎 僕の弟は僕よりも結構、元気です。とは風我のことを説明する時によく口にした台詞だ。いつだって彼が僕を引っ張っていく。(p.55) フーガはユーガ (実業之日本社文庫) 作者:伊坂 幸太郎 実業之日本社 Amazon 親から愛情を注…