59.名も無き世界のエンドロール/行成薫
「一日あれば、世界は変わる。二日あったら、宇宙がなくなってもおかしくない」(p.199)
ドッキリをかけるのが生きがいのマコトと、ビビりでマコトのドッキリに必ずひっかかるキダの二人が、史上最大の「プロポーズ大作戦」を企む、第25回小説すばる新人賞を受賞した行成薫の青春小説。
最初に言っておくと、この物語では「プロポーズ大作戦」と銘打ってるものの、決して恋愛物語でもコメディ作品でもない。
幼馴染である二人は小学校時代からの腐れ縁で、30歳となった今でもファミレスで飯を食っている仲。すると、キダはマコトの彼女にある告白をする手伝いを頼まれる。
過去と現在、小中高校、社会人と、様々な時系列がバラバラに展開される中で、マコトのドッキリにひっかかっては派手に驚くキダの姿は変わらない。
だけども、読み進めていくうちにそれぞれの関係性や性格、そのときどきでの考えてることや行動に、ぽつぽつと違和感を感じることになる。
二人の他愛のない会話や、小学生のころに転校してきたヨッチと呼ばれる少女との日々。
淡々と過去の回想が物悲しい雰囲気で続いていく中で、後半「プロポーズ大作戦」に向けて物語がどう収縮していくのか気になって一気読みしてしまった。
読了後には、あらすじからは想像できない驚きと、マコトたちが起こしたこれまでの行動の本当の意味を知って、言いようのない寂寥感に捉われる。
ところでこの物語、たくさん映画の名前が登場するのだけど、全然映画見ないので分からないネタが多かった。もっと見ないとな。まずは「レオン」からかなぁ。
では次回。