ガリ勉だとは思われたくないし、つまらない奴だとも思われたくない。学園生活はバランス感覚が全てだ。(p.28)
冬休みに多くの寮生たちが帰省する中、伝統ある男子校で居残りを決めた4人の少年がそれぞれ悩みや事情を抱えながら七日間を過ごす、恩田陸の青春劇。
築30年を超えた古めかしい寮である「松籟館」で、実家に帰らずに寮に残ることを決めた美国は、同じように寮に残った寛司と光治、そして寮に遊びに来る統と夜を過ごす。
そんな4人が集まった夜のご飯会で、突然始まった告白ゲームをきっかけにそれぞれが抱える過去や秘密が露わになる。
他人の目を気にせず、男4人でゆるゆると暮らす様子は何だか大学生のころを思い出して羨ましくなった。下宿生の家で宅飲みするあの感じ。
普段の生活では決して明かさなかっただろう秘密。
それが、この4人だけの空間だからこそ口に出してしまった。
そんな空気感が読んでいても伝わってくるくらい自然で、読んでるこっちにとっても心地よい距離間だった。
物語が進んでいく中で深まっていく謎や仲たがいも、この4人が自分のことを見つめ直すためのものなんじゃないかと思うくらい。
雪降る中、どこかから見つけたホットプレートでBBQなんて最高に決まってるよね。
では次回。