カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

「満月の泥枕/道尾秀介」の感想と紹介

66.満月の泥枕/道尾秀介

 

まるっきりの嘘なんて、けっこう誰も信じねえもんだよ。(p.170)

 

満月の泥枕 (光文社文庫)

満月の泥枕 (光文社文庫)

 


姪と下町の古びたアパートに住む主人公が、泥酔した夜の公園で見た奇妙な光景をきっかけに、アパートの仲間を巻き込んで事件に誘われる。

 

何度目か分からないぐらいの道尾秀介作品。
好きなのだからしょうがない。

兄の死をきっかけに姪の汐子と共に暮らすことになった二美男は、定職につかずにふらふらと生活していた。

夜の公園で奇妙な光景を見たあと、謎の少年から祖父が行方不明になっていることを聞かされ、自分が見た光景は殺人現場なのではないかと疑問を抱くようになる。


この事件をきっかけに、アパートの仲間たちと共に謎を解き明かすために次々と痛快な作戦を実行していくのだが、実行するごとにとんでもない方向に事態は進んでいく。


個人的には姪の汐子と主人公の関係が親子のような兄弟のような感じで、2人のコミカルな会話が好きだった。


ぞんざいな扱いをしながらも信頼し合う関係。

信頼あってこその適当さ。

そして主人公へのあたりは強い。


道尾秀介さんの物語の中ではかなり人情物に振っている作品になるので、ミステリー要素は少なめだった印象。

 

なんか舞台が浅草界隈だったので、現在進行形で下町の雰囲気を感じている今、ちょっとした親近感を持ちながら読めた。
いい所だよ、浅草。

 
では次回。