カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

「七つの海を照らす星/七河迦南」の感想と紹介

35.七つの海を照らす星/七河迦南

 

人は皆、首尾一貫とした自分の物語を必要としている。(p.337)

 

 

小さな子どもたちが過ごす児童養護施設七海学園で起こる不思議な事件を描いた短編集。


第18回鮎川哲也賞受賞作。


保育士の主人公は子どもたちと過ごしている間に、施設の周りで起こる七不思議と呼ばれる奇妙な事件と謎に遭遇する。


一つ一つの謎にも趣向が凝らされおり、ぞくっとする話もあれば幻みたいな話もある。


最終章では六つの謎と最後の謎が、点と点を結ぶ星座のように繋がり驚くべき真実が明かされる。


伏線の数も凄まじいのだけれど、主人公と子どもたちとの交流、そして社会福祉の問題を交えたストーリー展開がそれを感じさせない


この話には「アルバトロスは羽ばたかない」という続編があって、その作品もまた驚きの結末となっているのでぜひ続けて読んでほしい。


そして、実はこの作者の名前はローマ字の回文になっている。
遊び心が素晴らしい。

 

では次回。