カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

「眼球堂の殺人/周木律」の感想と紹介

110.眼球堂の殺人/周木律

 

 

奇怪な形をした邸宅に招かれた放浪の数学者と付き添いの記者は、謎に包まれた事件に見舞われる、周木律の長編理系ミステリー。

 

メフィスト賞を受賞した「堂」シリーズの第一作目となる作品。
久々に読む本格ミステリー。

 

共同研究をするために各地の数学者のもとに押し掛けては世界中を放浪する数学者の十和田只人は、彼をストーカーのごとく付け回す若手ジャーナリストの陸奥愛子と共に、ある著名な建築家が作り上げた巨大な館を訪れることになる。

 

館の名は「眼球堂」

その名に違わぬ奇怪な風貌をしたその場所には、各界を代表する天才たちが集められていた。

 

しかし、その館に集う面々が勢ぞろいしたのも束の間、理解しがたい出来事が次々と彼らを襲う。

 

不可思議な館の謎とその場所で起きる不審な死。
外と遮断されたクローズドサークル浪漫しかない。

 

何より数学者である十和田が語る知識が、物語の謎を解き明かすための推理とリンクしていく様がとても面白い。ユークリッドの公理正十七面体の話も興味深かった。

 

そして何と言っても「眼球堂」という現実味が感じられないような建築物で起こるからこそ、フィクションの中でしか起きえない事件の謎にここまで惹かれるのかもしれない。

 

正直、数学は全く得意ではないのだけど、理系ミステリーは大好き。
自分の想像を超える領域で展開されるからこそ、驚きと興奮が増すんだな。

 

では次回。