カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

「木曜日にはココアを/青山美智子」の感想と紹介

79.木曜日にはココアを/青山美智子

 

 夢はかなったところから現実だから(p.14)

 

木曜日にはココアを (宝島社文庫)

木曜日にはココアを (宝島社文庫)

 

 

川沿いにあるマーベルカフェで起こる話から始まって、何気ない出来事が知らず知らずのうちに1人の命を救う、青山美智子の短編小説。

 
この物語は12章から綴られる短編集であり、それぞれの章で異なった人物が主人公となり、をテーマにして物語を紡いでいく。
 
彼らは全員が決して親しい仲ではないし、知り合いでもない。
 
それでも、彼らが起こした何気ない行動が波紋となってそれぞれの人物に伝わり、自分の想いに気づいていく。
 
この物語に出てくる人物はまるで12色の色鉛筆のようで、決して12人全員が繋がりあっている訳では無いけども、それぞれ近しい色や組み合わせがあって、気づいたら輪のように繋がっている。
 
そして、最後の章が最初の章に結びついた時登場人物たちの幸せに心がほっと温かくなる。
 
好きだったのは「カウントダウン」での緑色の話。全ての緑色が好きな訳じゃなくて、少しの色合いで好きの強弱が出てくる。何か分からんけどめちゃめちゃ共感した。
 
一つ一つの物語が短くさくっと読めるので、寒い日のココアのお供にでもどうぞ。
 
では次回。