224.星降り山荘の殺人/倉知淳
頭上には、降るような星の光が満ち満ちていた。(p.164)
雪に閉ざされた山荘で起こった殺人事件は、閉じ込められた一癖も二癖もある登場人物たちに対して、思いがけない真実を差しだす、倉知淳の長編ミステリ。
実は高校生のころ図書館で借りたのに、冒頭を読んだくらいで返却期限が来てしまって、消化不良のまま返すことになった作品。
10年越しのリベンジで読み始め、10年の時を経てまんまと騙される。悔しい。
主人公の青年が会社で起こしたトラブルにより、当てつけとしてアイドル文化人タレントの付き人にさせられる、なんとも言えない場面から物語は始まる。
その後、自らをスターウォッチャーと名乗るそのタレントの付き添いで訪れたのは、別荘地として改装計画が立ち上がる山奥のキャンプ場だった。
他にも、UFO研究家や売れっ子の女流作家など、一筋縄ではいかないであろう面々が集められた山荘は、やがて外界への道が遮断され、陸の孤島となり、おあつらえ向きに殺人事件まで起きてしまう。
残された人々は、星の光と雪の白さに覆われた山荘で、真犯人を見つけ出すために奔走していく。
ストーリーの切れ目には、あくまでも公平に、見えない語り手によるヒントがちりばめられている。だからと言って、真実が勝手に転がってくるわけでもなく、ただただ探偵役の言葉にホイホイとうなづいているしがない読者にすぎないのだけれど。
では次回。