カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

「ラットマン/道尾秀介」の感想と紹介

2.ラットマン/道尾秀介

 

過ちと正しさが、そっくり同じ顔をしているのであれば、誰がそれを見分けられるというのだ。(p.326)

 

ラットマン (光文社文庫)

ラットマン (光文社文庫)

 

道尾秀介の作品の中でも群を抜いて好きな小説。

バンドマンである主人公が所属するバンドの元メンバーである女性が何者かに殺害される。そして、彼女の死の真相を巡るのと並行して、過去に主人公の家庭で起きた事故が回想される。


物語が進んでいくにつれて徐々に貼られた伏線が集まり、最後まで二転三転する結末に何度も騙されることになる。


終始暗い雰囲気が漂う中でも人の暖かさを感じさせる本作は、道尾秀介の真骨頂とも言えるかもしれない。


タイトルのラットマンとは錯視によってネズミに見えたりお爺さんに見えたりする騙し絵の作者の名前。


この作品もある角度でみると真相のように見える出来事が、別の角度から見ると全く別の真相が浮かび上がる。


一気読み必至なので、ぜひ読んでみてください。

 

では次回。