カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

「名前探しの放課後/辻村深月」の感想と紹介

39.名前探しの放課後/辻村深月

 

「それまでの持ち物を捨てて、周りの人の期待を裏切ってしまうこと。身を切られるようにつらかったでしょう。よく、決断しましたね」(下 p.190)

 

名前探しの放課後(上) (講談社文庫)

名前探しの放課後(上) (講談社文庫)

 

 

主人公たちが自殺するかもしれない生徒を守るため、名前も分からない誰かを探し求める辻村深月青春SFミステリー


3ヶ月後に同級生が自殺する。
でも、それが誰か分からない。


同級生が自殺する記憶を持つ依田いつかとその相談を受けた坂崎あすなは、仲間を集めて彼の記憶を頼りに自殺する誰かを探し始める


この作品では心情描写が多く、彼らの感情の揺れ動きをひしひしと感じとることができる。


特にいつかとあすなの考え方や関係が、「名前探し」を通して少しずつ変化していくのが良かった。


上下巻で少し長めだけれど、物語の最後にはしっかり驚くべき真実が隠されている。


また、辻村深月さんの作品では舞台背景が繋がっているので、他の作品で登場した人物がこの作品でも多く登場している。

 

いわゆるスターシステムを採用している作家さんなので、順番に読み進めていくのが辻村ワールドを楽しむポイント

 

単体でも十分面白いけど、十二分に楽しんで欲しいな。

 

では次回。