カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

「TITAN タイタン/野崎まど」の感想と紹介

40.TITAN タイタン/野崎まど

 

「・・・仕事ってそんな簡単なものではないと思うけど」

「簡単さ。余計なものさえ入り込まなければな」

「余計なものってなに」

(中略)

「“人間”だよ」(p.88)

 

タイタン

タイタン

 

 

"天才"野崎まどが描く、AIが社会を統制することにより人類が「仕事」から解放された世界での物語。


今から150年後の世界ではAI"タイタン"により、この世のあらゆる仕事という仕事が人の元を離れ、ストレスのない平和な世界を過ごしていた。


その世界で心理学を「趣味」としていた主人公に、AI"タイタン"を管理する数少ない就労者から「仕事」を依頼される。


その仕事とは、機能低下を起こしていたAI"タイタン"のカウンセリングだった。


野崎まどが創る世界はどうして現実とはかけ離れた設定にも関わらず、いつか必ずくる未来だと思わせられるのだろう。


SFは専門用語が多くて苦手な人も多いかもしれないけど、この物語は決して難しい議題を扱っているわけではない。


AIタイタンがひとりの人間として、主人公と一から「仕事」の意味を考えていく。


それは現代に通ずる社会問題でもあるし、彼らが対話を通して成長していく物語でもある。


社会人になってからふと「仕事」の意義を考えることが多かったからこそ、とても心に刺さった本だった。

 

では次回。