カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

「戦場のコックたち/深緑野分 」の感想と紹介

15.戦場のコックたち/深緑野分

 

人生の楽しみは何かと問われたら、僕は迷わず「食べることだ」と答えるだろう。(p.11)

 

戦場のコックたち (創元推理文庫)

戦場のコックたち (創元推理文庫)

 

第二次世界大戦アメリカ軍の特技兵として参加したコックを主人公として、戦争という非日常の最中に起こる日常の謎を描いたミステリー。

 

直木賞の候補にも入った著者の深緑野分は歴史的造詣が深く、戦争の残酷さや軍の過酷な生活などを細やかに描写しつつ、戦地での食生活などの日常を巧みに描いている。


ノルマンディー上陸作戦から始まるこの物語では、第二次世界大戦を舞台にしながらも戦争自体を主題に置くのではなく、あくまで"日常の謎"にスポットを当てている。


非日常の中で起きるささやかな謎に対して、現実を忘れるかのように謎を解き明かそうとする主人公たちの姿があることで、より戦争という非日常な状況が浮き彫りになっている気がする。


歴史を学べてなおかつミステリーとしても優れている物語なので、ぜひ映像化されてるのも見てみたい。

 

なぜだかこういう本を読むと少し料理してみたくなるな。できないのに。

 

では次回。