カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

「和菓子のアン/坂木司」の感想と紹介

95.和菓子のアン/坂木司

 

和菓子は自由でおいしくて、人生に色を添える。(p.301)

 

和菓子のアン (光文社文庫)

和菓子のアン (光文社文庫)

 

デパートの地下にある和菓子屋で働く主人公の女の子が、個性豊かな従業員たちに囲まれながら和菓子の魅力に気づいていく、坂木司日常ミステリー

 

一つ前に読んだ本とのギャップがすごい。
まぁあえてそうしたのだけど。

 

大学に行かずに働くことを決めた主人公の杏子は、食べることが好きなことも相まってデパ地下にあった和菓子屋「みつ屋」でアルバイトをすることになる。

 

最初は和菓子について詳しくなかった主人公も、和菓子を買いに来るお客さんを接客しているうちに、その遊び心に満ちた和菓子の世界に魅了されていく。

 

また、おはぎ練り切りなど、普段何気なく食べていた和菓子にまつわる知識や名の由来などについて、物語の最中に遭遇する謎を交えながら知ることが出来る。

 

そして何と言っても、この物語に登場する人物たちが本当に魅力的。

 

主人公はぽっちゃりした自分の身体に不満を漏らしたり、かと言って美味しい食べ物の誘惑には負けてしまったりと、等身大な部分がすごく好きになった。

 

また、そんな主人公を囲む面々も個性豊かで、彼らの表と裏の顔とのギャップには面食らいつつも、みんなが生き生きと働く活気ある職場の雰囲気に読んでるこっちも和んでしまう。

 

久しぶりにお団子食べながら読んだ。
気分がすっかり春モードになってきた。