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「いなくなれ、群青/河野裕」の感想と紹介

109.いなくなれ、群青/河野裕

 

この物語はどうしようもなく、彼女に出会った時から始まる。(p.16)

 

いなくなれ、群青(新潮文庫)

いなくなれ、群青(新潮文庫)

 

島に来た記憶を無くした主人公は、かつて離れ離れになった少女と出会ったことで無くしたものを取り戻す、河野裕の青春ミステリ―。

 

「階段島」シリーズの第一作目となる作品。
印象的なタイトルに見覚えがある人も多いかもしれない。

 

捨てられた人々が集まる島。
その場所で生活している誰もが、島に来た理由を忘れている。

階段島と呼ばれるその島で平穏な生活を送っていた主人公だったが、一人の少女との再会により、この島を巡る謎と彼らがこの島にやってきた真相を明らかにすることになる。

 

自分を蔑ろにすることで、諦めることに慣れた主人公
誰よりもまっすぐで、自らの正しさをどこまでも信じる少女。

 

やがて島の謎が明かされ、この場所にやってきた理由を知った時、彼らがお互いに抱くあいまいで歪な感情には、少しづつ名前がつき始める。

 

現実でも人は誰しも成長していくにつれて、大切な何かを守るために無くしてしまう感情が存在するんだろう。良くも悪くもそうなっている。

 

この物語に登場する人々はそんな風化して忘れ去られていく感情を、痛々しいぐらいにもがいて抱きしめようとする。だからこそ、読み終わった後に正論を叩きつけられた時のような気恥ずかしさを覚えるのかもしれない。

 

おそらく読んだのは4年前ぐらい。
ただ、このシリーズは一作目しか読んでなかったので、また続きを読んでみたいなと思って書き残してみた。それにしても時が経つ速さが恐ろしすぎる。

 

では次回。