カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

「さよなら妖精/米澤穂信」の感想と紹介

10.さよなら妖精/米澤穂信

 

「ああ、いいよ、差し上げる。

 傘と本は貸したら帰ってこないものだから」(p.36)

 

さよなら妖精 (創元推理文庫)

さよなら妖精 (創元推理文庫)

 

古典部シリーズ」で有名な日常系ミステリーの旗手、米澤穂信の青春小説。


この物語も日常に潜む謎にスポットを当てており、高校生たちが文化の違いを乗り越えながら謎を解決していく。

それにしても著者の主人公には、無気力で気だるげだけど勘が鋭い青年が似合う。


米澤穂信さんは誰もが経験したことのあるような、


「不満もなく日常生活を過ごしているけど、どこか物足りない。自分にはもっと何か出来ることがあるんじゃないか。」


そんな悶々と自問自答する日々の感情を共有してくれる。


この本に登場する旧ユーゴスラビアから来た少女も、主人公たちの日常を少しずつ変えていく。


そしてラストの謎が解けた時、登場人物達のように痛みを伴いながらも成長していくしかないことを教えられる。

世界史を習っていた人には少し懐かしくなるかもしれない。

 

古典部シリーズ」は読んだけどこっちはまだという方がいればぜひ。

 

では次回。