カタコトニツイテ

頭のカタスミにあるコトバについて。ゆる~い本の感想と紹介をしています。

日記

「儚い羊たちの祝宴/米澤穂信」の感想と紹介

83.儚い羊たちの祝宴/米澤穂信 バベルの会とは、幻想と現実とを混乱してしまう儚い者たちの聖域なのです。(p.288) 儚い羊たちの祝宴(新潮文庫) 作者:米澤 穂信 発売日: 2014/11/28 メディア: Kindle版 夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会…

「麦本三歩の好きなもの 第一集/住野よる」の感想と紹介

82.麦本三歩の好きなもの 第一集/住野よる もう一度味わいたかったら新たに食べるしかない。それが出来るのは今日からの自分だけだ。だって食べたいのは今の自分だから、過去の自分になんて渡してたまるもんか。(p.288) 麦本三歩の好きなもの 第一集 (幻冬…

「楽園のカンヴァス/原田マハ」の感想と紹介

81.楽園のカンヴァス/原田マハ 「それこそが『永遠を生きる』ってことだよ」(p.343) 楽園のカンヴァス (新潮文庫) 作者:原田 マハ 発売日: 2014/06/27 メディア: 文庫 巨匠アンリ・ルソーが残した名作である「夢」に酷似した絵画を巡り、ルソーを敬愛する…

「解錠師/スティーヴ・ハミルトン」の感想と紹介

80.解錠師/スティーヴ・ハミルトン 金庫にふれるときは、それを女だと思え。ぜったいにそれを忘れるな。(p.425) 解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:スティーヴ・ハミルトン 発売日: 2012/12/09 メディア: 文庫 言葉を発することが出来なくなった少年が…

「木曜日にはココアを/青山美智子」の感想と紹介

79.木曜日にはココアを/青山美智子 夢はかなったところから現実だから(p.14) 木曜日にはココアを (宝島社文庫) 作者:青山美智子 発売日: 2020/06/04 メディア: Kindle版 川沿いにあるマーベルカフェで起こる話から始まって、何気ない出来事が知らず知らず…

「法廷遊戯/五十嵐律人」の感想と紹介

78.法廷遊戯/五十嵐律人 人間が人間を裁くには、確信に近い心象を形成しなくちゃいけない。立証は、そこに至るために必要な事実と論理の積み重ねなんだ。(p.69) 法廷遊戯 作者:五十嵐律人 発売日: 2020/07/14 メディア: Kindle版 とあるロースクールで行わ…

「ツバキ文具店/小川糸」の感想と紹介

77.ツバキ文具店/小川糸 文字は、体で書くんだよ(p.155) ツバキ文具店 (幻冬舎文庫) 作者:小川 糸 発売日: 2018/08/03 メディア: ペーパーバック 鎌倉で先代から続く文具店を営みながら手紙の代筆を請け負う鳩子は、様々な理由で訪れる人たちとの交流を通…

「死体を買う男/歌野晶午」の感想と紹介

76.死体を買う男/歌野晶午 死体を買う男 (講談社文庫) 作者:歌野 晶午 発売日: 2001/11/15 メディア: 文庫 江戸川乱歩の未発表作と噂される原稿を巡り主人公が奔走する中、その作品内では並行して乱歩が事件を解決するべく立ち回る、歌野晶午の本格ミステリ…

「i/西加奈子」の感想と紹介

75.i/西加奈子 でもいつ、悲しみ終えたのだろうか。皆が悲しみ終えていい瞬間は、いつ訪れたのだろう? (p.71) i (ポプラ文庫) 作者:加奈子, 西 発売日: 2019/11/06 メディア: 文庫 入学式の翌日に学校教師が言った「この世界にアイは存在しません」という言…

「ネバーランド/恩田陸」の感想と紹介

74.ネバーランド/恩田陸 ガリ勉だとは思われたくないし、つまらない奴だとも思われたくない。学園生活はバランス感覚が全てだ。(p.28) ネバーランド (集英社文庫) 作者:恩田 陸 発売日: 2003/05/20 メディア: 文庫 冬休みに多くの寮生たちが帰省する中、伝…

「世界地図の下書き/朝井リョウ」の感想と紹介

73.世界地図の下書き/朝井リョウ とんでもなく広い宇宙に放り出された気がした。(p.179) 世界地図の下書き (集英社文庫) 作者:朝井 リョウ 発売日: 2016/06/23 メディア: 文庫 両親を事故で無くした少年が養護施設で子供たちと暮らしていく中で、徐々に絆…

「レプリカたちの夜/一條次郎」の感想と紹介

72.レプリカたちの夜/一條次郎 「わかりませんよ。なにがあってもおかしくはない世の中ですから」(p.123) レプリカたちの夜 (新潮文庫) 作者:次郎, 一條 発売日: 2018/09/28 メディア: 文庫 工場で働く主人公は夜中12時に工場内を徘徊するシロクマを目撃す…

「崩れる脳を抱きしめて/知念実希人」の感想と紹介

71.崩れる脳を抱きしめて/知念実希人 だから、私たちは慌てて新しい人生の意味を探すの。残された時間で、なにかを遺したい、なにか意味のあることがしたいってね。(p.104) 崩れる脳を抱きしめて 作者:知念 実希人 発売日: 2017/09/15 メディア: 単行本(…

「さよならの言い方なんて知らない。/河野裕」の感想と紹介

70.さよならの言い方なんて知らない。/河野裕 「たいていの物事はフィクションから始まる。 そのフィクションに現実が出会う瞬間に、心の底から憧れる」(p.10) さよならの言い方なんて知らない。 (新潮文庫nex) 作者:裕, 河野 発売日: 2019/08/28 メディア…

「盤上の向日葵/柚木裕子」の感想と紹介

69.盤上の向日葵/柚木裕子 将棋の駒は美術品じゃねえ。眺めてるだけじゃ死んでいるのと同じよ。駒は指してこそ生きる。(下・p.94) 盤上の向日葵 作者:柚月裕子 発売日: 2017/11/07 メディア: Kindle版 名匠の将棋駒を胸に抱いた白骨死体を巡り、二人組の刑…

「あと少し、もう少し/瀬尾まいこ」の感想と紹介

68.あと少し、もう少し/瀬尾まいこ 俺はハングリーではない。だけど、負けるにはいかない。(p.230) あと少し、もう少し (新潮文庫) 作者:瀬尾 まいこ 発売日: 2015/03/28 メディア: 文庫 所属している部活もばらばらの六人が中学最後の駅伝大会に向けて集…

「旅のラゴス/筒井康隆」の感想と紹介

67.旅のラゴス/筒井康隆 人間はただその一生のうち、自分に最も適していて最もやりたいと思うことに可能な限りの時間を充てさえすればそれでいい筈だ。(p.122) 旅のラゴス(新潮文庫) 作者:筒井康隆 発売日: 2018/08/10 メディア: Kindle版 高度な文明を…

「満月の泥枕/道尾秀介」の感想と紹介

66.満月の泥枕/道尾秀介 まるっきりの嘘なんて、けっこう誰も信じねえもんだよ。(p.170) 満月の泥枕 (光文社文庫) 作者:秀介, 道尾 発売日: 2020/08/06 メディア: 文庫 姪と下町の古びたアパートに住む主人公が、泥酔した夜の公園で見た奇妙な光景をきっか…

「好きな歌詞」について(andymori編)

近頃は気温も下がり、過ごしやすい気候になりつつある中で、相も変わらず家で本を読んだり文を書いたりしている訳ですが。 最近買った本にこんなものがありました。 Sunrise&Sunset 小山田壮平詩集 作者:小山田 壮平 発売日: 2020/08/31 メディア: 単行本 ぼ…

「そして二人だけになった/森博嗣」の感想と紹介

65.そして二人だけになった/森博嗣 自然には、権利など、最初からない。(p.29) そして二人だけになった Until Death Do Us Part (講談社文庫) 作者:森博嗣 発売日: 2018/09/14 メディア: Kindle版 海峡大橋を支えるアンカレイジの内部に…

「明るい夜に出かけて/佐藤多佳子」の感想と紹介

64.明るい夜に出かけて/佐藤多佳子 世界から色がなくなる俺的造語「失色」状態の時でも、好きな深夜ラジオは、色あせなかった。(p.30) 明るい夜に出かけて(新潮文庫) 作者:佐藤多佳子 発売日: 2019/10/18 メディア: Kindle版 ある事件から心に傷を負って…

「サクリファイス/近藤史恵」の感想と紹介

62.サクリファイス/近藤史恵 自らの身を供物として差し出した月のうさぎの伝説のように、自分の身体をむさぼり食ってもらえれば、そのときにやっと楽になれるのではないかと。(p.76) サクリファイス(新潮文庫) 作者:近藤史恵 発売日: 2012/07/01 メディ…

「羊と鋼の森/宮下奈津」の感想と紹介

60.羊と鋼の森/宮下奈津 羊のハンマーが鋼の弦を叩く。それが音楽になる。(p.75) 羊と鋼の森 (文春文庫) 作者:宮下 奈都 発売日: 2018/02/09 メディア: Kindle版 1人の青年がピアノ調律師として成長していく、宮下奈津の第13回本屋大賞に選ばれた作品。 北…

「カササギ殺人事件/アンソニー・ホロヴィッツ」の感想と紹介

57.カササギ殺人事件/アンソニー・ホロヴィッツ この本は、わたしの人生を変えた。(p.9) カササギ殺人事件 上 (創元推理文庫) 作者:アンソニー・ホロヴィッツ 発売日: 2018/09/28 メディア: Kindle版 カササギ殺人事件 下 (創元推理文庫) 作者:アンソニー…

「虚構推理/城平京」の感想と紹介

33.虚構推理/城平京 人の想像力が怪物を生み出すんです(p.109) 虚構推理 (講談社文庫) 作者:城平 京 発売日: 2015/12/15 メディア: 文庫 とある事から不死身の存在になってしまった青年と、自らも怪異的な存在である少女が協力して怪異の事件に挑むミステ…

「サブマリン/伊坂幸太郎」の感想と紹介

32.サブマリン/伊坂幸太郎 「全力投球を馬鹿にしてくる奴がいたら、そいつが逃げてるだけだ」(p.152) サブマリン (講談社文庫) 作者:伊坂 幸太郎 発売日: 2019/04/16 メディア: 文庫 いつも貧乏くじを引きがちな武藤と、自由奔放で傍迷惑な上司陣内の2人の…

「四畳半神話大系/森見登美彦」の感想と紹介

31.四畳半神話大系/森見登美彦 「成就した恋ほど語るに値しないものはない」(p.94) 四畳半神話大系 (角川文庫) 作者:森見 登美彦 発売日: 2008/03/25 メディア: 文庫 薔薇色のキャンパスライフを想像しながらも、程遠い現実を四畳半で過ごす私と個性豊かな…

「パラレルワールド・ラブストーリー/東野圭吾」の感想と紹介

29.パラレルワールド・ラブストーリー/東野圭吾 彼女は見つからなかった。 まるで蜃気楼のように消えてしまった。(p.12) パラレルワールド・ラブストーリー (講談社文庫) 作者:東野 圭吾 発売日: 1998/03/13 メディア: 文庫 ベストセラー作家東野圭吾のSF…

「カラスの親指/道尾秀介」の感想と紹介

28.カラスの親指/道尾秀介 親指が力を貸した人差し指は、難なく小指と寄り添うことができた。 「きっと、そういうことなんだと思いますよ」(p.240) カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫) 作者:道尾秀介 発売日: 2012/10/1…

「宝島/真藤順丈」の感想と紹介

27.宝島/真藤順丈 「おれたちの英雄さぁね」(p.59) 【第160回 直木賞受賞作】宝島 作者:真藤 順丈 発売日: 2018/06/21 メディア: 単行本 終戦後の沖縄を舞台に少年少女の青春と成長を描く、第160回直木賞を獲得した真藤順丈の長編小説。 米兵基地から物資…